子どもの入院を経験した親は3人に1人以上――DMHC:片道2時間以上の“遠距離看病”も
子どもの入院時、できるだけそばで看病したいというのが親心。しかし、病院までの距離が遠ければ……。ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンが、そのような状況に置かれている家庭の実情を調査した。
親であれば、誰しも子どもの健康を願うものだが、いざ病気になった場合には、適切な治療を受けさせるためにさまざまな努力を払うだろう。それには、入院した子どもへの“付き添い”も含まれる。
しかし今、その付き添いにも大きな負担が重くのしかかっている――ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン(参照リンク)は、病気と戦う子どもとそれを支える家族の実態に関する調査を行い、その結果を公表した。
3人に1人は子どもの入院を経験。人ごとではない「遠距離看病」
同調査によれば、30歳以上の子どものいる既婚男女のうち、子どもが入院した経験を持つ人は全体の37.5%。3人に1人以上の割合で子どもの入院を経験していることになる。さらにそのうちの2.1%、つまり50人に1人の親が、病院まで片道2時間以上の時間をかけて病院に通い、「遠距離看病」を行っている実態が明らかになった。
1週間あたり何日付き添いをしたかを訪ねると、片道1時間未満の人の平均は「5.99日/週」、1〜2時間の人の平均は「5.80日/週」、2時間以上の人の平均は「5.63日/週」となっている。
往復4時間ともなる遠距離看病では移動距離が長いため、時間的・金銭的な負担が大きい。それにもかかわらず、入院している子どもへの付き添いを毎日行っている家庭が62.4%、5〜6日も7.4%という結果となった。遠距離看病を経験した親に「子どもの入院時、物理的に負担に感じたことは?」と尋ねると、最も多かったのは「病院までの移動距離」で53.1%、以下「時間に関する負担/多忙さ」「経済的負担」「看護に関する体力」「普段の仕事への影響」と続く。
また、子どもの入院経験がある親の8割が「親が子どもに付き添いやすい施設の充実」を望んでおり、病気になった子どもだけでなく、その親や家族への支援も必要だと考えられる。
「最良の治療を受けさせたい」
自宅から2時間以上の病院を選んだ理由として最も多かったのは、「診療を受けた病院などから推薦・紹介を受けた」(50.4%)、次いで「その医療機関でなければ適切な治療が受けられないと指定された」(37.2%)。子どもの病状が重かったり、難病をわずらった場合、たとえ自宅から距離があったとしても適切な治療を受けさせたいためにその病院を選択する、という背景が遠距離看病を生み出す要因になっていることがうかがえる。
調査結果を公表したドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンでは、遠距離看病を行う過程の負担を減らすべく、難病の子どもを受け入れている医療機関の近くに、1人あたり1日1000円で利用できる「ドナルド・マクドナルド・ハウス」を開設、運営している。ドナルド・マクドナルド・ハウスは世界34カ国335カ所(2014年3月現在)にあり、日本では北海道、宮城県、栃木県、東京都(3カ所)、愛知県、大阪府、高知県の9カ所が運営されている。
同調査はマクロミルがインターネットを通じて行った。対象は子どもを持つ30歳以上の既婚男女8万767人で、「子どもの入院経験あり」と回答した人のうち、自宅から病院までの距離が「1時間未満」「1時間以上2時間未満」「2時間未満」それぞれ258人ずつ抽出し、母集団とした。
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