愛されて30周年、なぜ「ビックリマン」はいまだに売れ続けるのか?:みんな好きだった(2/3 ページ)
1985年にロッテが発売したビックリマンチョコ「悪魔VS天使シリーズ」が今年で30周年を迎えた。その間に紆余曲折があったものの、さまざまな策を講じたことで顧客拡大に成功したのだ。その全貌とは……。
「ももクロマン」などコラボ商品で顧客開拓
悪魔VS天使シリーズは、1992年にいったんの終了を迎えた。その後、女児向けの「ビックリコ」などの関連シリーズを販売したが、以前のようなヒット連発とはいかなかった。
そこで満を持して1999年に発売したのが、悪魔VS天使シリーズとは異なる見せ方で、現代風にアレンジした「バグ悪魔VSギガ天使シール」シリーズである。翌年に放送開始したテレビアニメ「ビックリマン2000」と連動したこともあり、「新たな世代のファン獲得にも寄与した」と本原氏は力を込める。実際、ビックリマンのファンは、80年代にシール収集していた世代と、ビックリマン2000の世代に大きく分かれるそうである。
2000年代に入り、悪魔VS天使シリーズの20周年を記念した「ビックリマン 20th ANNIVERSARY」(2005年)や、「ビックリマン 21st ANNIVERSARY ひかり伝」(2006年)、「ビックリマン プロ野球チョコ」(2006年〜2008年)、ソーシャルゲーム(主にSNS上で行われるオンラインゲーム)と連動した「ビックリマン伝説」(2012年)などを矢継ぎ早に発売した。
このように新商品を積極的に出す一方で、課題も顕在化していた。ビックリマンというブランドの最大の強みは、かつて一大ブームを築いたときに小学生だった30代〜40代前半のコアなファン層がマニア的にずっと買い続けていることだ。実はそれが弱点にもなったのである。
「例えば、復刻版であるビックリマン伝説を出したとき、昔からのファンは喜んで買ってくれたが、それ以外の購買者はわずかだった。ブランドが高齢化しており、ビックリマンの伝承が若い世代にできていなかった」(本原氏)
顧客拡大に向けて若年層の取り込みが喫緊の課題だった。「いかに若者の心をつかむか」――。社内でも議論した末、2013年に打ち出したのが、アイドルやマンガ、ゲームなどとのコラボレーションシリーズである。
初音ミクとコラボした「ミックリマン」を皮切りに、アイドルグループのももいろクローバーZとの「ももクロマン」、漫画「北斗の拳」との「北斗のマン」、ゲーム「モンスターハンター」との「ビッ狩りマン」と、新商品を次々と出していった。
特に反響が大きかったのが、ももクロマンだという。20代女性をはじめ、今までの客層とはまるで違う人たちが商品を買い求めたのだ。同時に、ソーシャルメディア上などで「ビックリマンって何?」「ゼウスってどういう意味?」といった具合に若者が反応を示したのである。「コラボシリーズによってビックリマンの間口が広がり、10〜20代の購入者が急増した」と本原氏は振り返る。
関連記事
- 王者「ガリガリ君」を倒したのは? ロッテアイスの戦略が面白い
アイスクリーム市場が活気に沸いているが、どの商品が売れているのだろうか。業界などが発表している売れ筋ランキングではなくて、消費者のレシートを分析したところ、意外な結果が! それは……。 - 配って、売れて、パクられて――ポッキー海外物語
江崎グリコの「ポッキー」が、海外で広がりつつあることをご存じだろうか。インドネシアでは2012年から本格的に展開しているが、売上目標を軽く上回る勢いだ。その理由は……。 - ヒット商品の方針転換は成功するか? グリコ乳業「ドロリッチ」の挑戦
ヒット商品を作るには。そして、ヒット商品をロングセラー化するには。グリコ乳業は“デザート飲料”というカテゴリを創出したヒット商品「ドロリッチ」で、商品開発の一大テーマであるその解を「環境変化への対応」と導き出した。 - 昭和50年代生まれの男性が懐かしく感じるものは?
社会人となり、活躍する人も増えている昭和50年代生まれ。昭和50年代生まれの男性が少年時代に好きだったマンガや、見ていたテレビ番組は何なのだろうか。ライフネット生命保険調べ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.