このパワーストーン安いよね? 金銭感覚を狂わす7つのキーワード:お金もセンス(1/4 ページ)
大根1本は10円でも安く……というのに、パワーストーンを数万円で買う。人はなぜこうした不合理な購買行動をするのか。人の心理をひも解いてみると、金銭感覚を狂わす7つのキーワードが浮かびあがった。それは……。
著者プロフィール:
森永賢治(もりなが・けんじ)
1992年、ADKに入社。通信、食品、化粧品、ファッション関連商品のマーケティング・ディレクターを経て、1999年、「金融プロジェクト」リーダーに就任。現在、ストラテジック・プランニング本部長(金融カテゴリーチーム・リーダー兼務)。JMAマーケティングマイスター。
2014年10月に書籍『「お金と心理」の正体』(共著)を刊行。同書籍では、上記金融カテゴリーチームに蓄積された金融コミュニケーションのノウハウ・分析を8つの章に分けて紹介している。
本連載『お金もセンス』第3回目は、「お得と損」「高いと安い」の金銭感覚についてである。お金というのは「価値の尺度」なので、人によって、状況によって高くも安くも、得にも損にも感じることがある。10円、20円の野菜の価格差にこだわる主婦が、通販で数万円もするパワーストーンを平気で買ったり、安売りセールで無駄な買い物をすることがある。
そうかと思うと片やポイントを貯めるのに必死だったり……本人の中では「安い買い物をした」「得した」という思いはあるのだろうが、よくよく考えてみれば、何とも不合理なことが多い。
今回は、不合理に見える購買行動の根底に潜む人間の心理をいくつか紐(ひも)解きながら、状況や感情に振り回されない“金銭感覚”を身につけていただきたい。自らをコントロールできる“平常心の金銭感覚”を持つ……これも大事な「お金のセンス」である。
私の近所のスーパーマーケットで、月に一度「ポイント10倍デー」という日があって、その日は店内が異常なほど混み合う。つまり、この日ばかりはと皆こぞって買い込むわけだが、しかし考えてみると、すぐ側の商店街では毎週のように3割引セールをやっている。
もちろん、ある程度の人の入りはあるものの、さすがにここまでは混まない。ちょっと考えてみるとヘンな話だ。いくらポイント10倍と言っても、たかが1割引、片や3割引である。小学生レベルの計算力があればどっちが得か分かるのに、なぜかポイント10倍に殺到する。実はこれにもいくつかのインサイトが存在している。
まず、そもそもポイントを「割引」として捉えていないということだ。買い物をしたことによってもらった「+αのプレゼント」という認識で、ささやかな貯金がごとく「貯めることの喜び」を得ているのだ。
そしてもう1つ。ある程度貯まって、それを使って買い物をしたり、また旅行をしたりすると現金を使った時よりはるかに「お得感」を感じる。これは無駄な出費をせずに「かしこい買い物」ができた自分に対する満足感とも言える。いわばポイントは自分が「かしこい買い物」をしたという、累積された数字に裏付けられた明確な“証”なのである。
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