新型マツダ・デミオが売れた3つの理由:池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/4 ページ)
マツダの新型デミオ、特に「SKYACTIVE-D」搭載のディーゼルモデルが売れている。「売れているのはハイブリッド車ばかり」な日本でなぜ新型デミオは売れるのか? その理由とは……。
コラム:セグメントって何?
セグメントはその昔「車格」と言われていた。同じクラスをトヨタは「カローラクラス」と呼び、ニッサンは「サニークラス」と呼んでいた。メーカーによって呼び方がちがっては、分かりづらくて困る。しかもサニーの後継は現在ティーダである。名前が変わる度にクラスの呼び方も変わってしまうことになる。
同様のことは世界各国で起こっており、どれもこれもメーカーや国の都合と事情の塊で、非常に分かりにくかった。しかし「イタリア式のアルファベット順セグメント分けがグローバル基準として使いやすい」と気が付いた1人の編集者がいた<これ日本の編集者です>。彼は20年かけてその普及に努め、今では自動車メーカー各社もそれにならうようになっている。
各セグメントの代表車種と特徴を簡単に説明すると以下の様になる。
Aセグメント
Aセグメントはフォルクスワーゲンの「up!」に代表される最小のクルマ。日本の軽自動車はこれに近いが、日本の法規に沿ったドメスティック商品なので、厳密にはAセグメントではない。
Bセグメント
Bセグメントはトヨタ・ヴィッツやホンダ・フィットなど、後席を重視しない全長4m以内のクルマ。
Cセグメント
Cセグメントはフォルクスワーゲン・ゴルフやトヨタ・プリウスなど後席に実用レベルの居住性を備えた原則全長4.3m前後のクルマ。ただしプリウスは例外的に全長が長い。
Dセグメント
Dセグメントはホンダ・アコード、スバル・レガシィなど日常的な家族ユースなど多人数での運用を快適にこなせる全長5m以下のクルマ。
Eセグメント
EセグメントはベンツのEクラス、BMWの5シリーズなど後席居住性が前席と同等に高いパーソナルカー。
Lセグメント
Lセグメントは一般的にはベンツのSクラスやBMWの7シリーズなどが代表だが、基本的に無差別級なので上限はない。そのためアルファベットの順番を飛び越えてイタリア語で豪華を意味する「Lusso」の頭文字となっている。後席の居住性を優先するモデル。
プレミアム
各セグメントには、同クラスに比較して付加価値を高めたプレミアムセグメントがあり、例えばDセグメントのホンダ・アコードに対してベンツのCクラスやBMWの3シリーズは「プレミアムDセグメント」と呼ばれる。
筆者プロフィール:池田直渡(いけだなおと)
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。
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