コラム
税理士や税務職員さえもよく分からない? 印紙税のしくみ:知っているようで知らない「正しい印紙の貼り方」(1/2 ページ)
印紙税は、仕組みさえちゃんと理解すればアイデア次第でいくらでも節税できる、ユニークな税金でもあるのです。
甘く見ていると、いつか痛い目に合うかも……。印紙税は、本当に怖い税金です。
どうしてそんなに怖いかというと、税金の専門家である税理士でさえも、印紙税のことをよく知らないからです。税理士だけではありません。税務署の職員であっても、印紙税に詳しいのはごく一部の専門調査官に限られます。
前回紹介したダイエーに限らず(参考記事)、じつは大手企業や銀行が印紙税の納付漏れを指摘されたという例は少なくありません。追徴税額が数千万円から数億円にのぼることも珍しくありません。
なぜ、税理士や公認会計士がしっかりと管理しているはずの大企業でさえ、印紙の貼り忘れなどの事案が後を絶たないのでしょうか。その原因は、印紙税に関する知識不足や誤った認識にあると思われます。
じつは税理士試験や公認会計士試験において、「印紙税」の科目は存在しません。おもしろいことに、そもそも税理士法において、印紙税は税理士の職務から除外されているのです。
【税理士法第2条】
税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、〈中略〉その他の制令で定めるものを除く。以下同じ)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
したがって税理士試験に合格しても、印紙税に関する知識はほとんどないのがふつうで、あとは会計事務所などで実務経験を積むしかないのです。
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