脳波で分かってきた「お金の心理」:お金もセンス(4/4 ページ)
人は「本音と建前」を使い分けながら生きている――。このように言われているが、本音の部分を把握することは難しい。しかし、脳派を分析することで意外な事実が明らかに。それは……。
「理性」のブレーキは強めに
なぜ、特に金融分野だけ、このような結果が出たのだろうか。「優越感が持てる」といった答えは、例え自覚していたとしても恥ずかしくて言えないということがあるだろう。アンケートとはいえ、人間性を疑われるような答えは避けたいと思うのは自然である。
ここで仮説を立ててみる。脳波を「本能」、アンケートを「理性」として考えると、金融商品を選ぶ際には、この2つの心理が激しく拮抗しているのではないかという仮説だ。特に、株や投資信託などの商品は、他の一般生活商品&サービスに比べて高額である。100万円単位、1000万円単位のお金が動くのも珍しいことではない。だからこそ、「思いっ切りもうけたい! 優越感を味わいたい!」と思う一方で、「失敗したときのリスクが怖い」といった、相反する気持ちも生じてくる。
そもそも人間はクルマでいうところの、アクセルとブレーキの両方をほとんど同時に踏みながら、お金と付き合っているのではないかということである。それで、何かのきっかけで、ちょっとだけアクセルの踏み込みが強いと、その商品を購入し、逆に、ほんのわずかでもブレーキが強いと購入を見送るというわけだ。
お金のセンスについても触れておこう。運用のプロならいざ知らず、我々のような素人は、お金に対する積極的な行動は本能がなせるワザ、そして現実目線でブレーキをかけているのは理性のチカラということである。
「お金を増やしたい」「もうけたい」というのは実は本能の叫びであって、そのパワーは我々が思っている以上に強烈である。ちょっと油断すると、すぐにアクセルが踏まれる。いや、常にやや踏まれた状態にあるといっていい。人が「もうけ話に乗りやすい」のはこのためで、このことを常日頃から自覚しておくことが重要だ。だからこそ理性のブレーキは、かなり“強め”にかけるべきなのである。
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