大塚家具が中期計画を発表 店舗改革などで利益を十数倍に:お家騒動の渦中で
“お家騒動”のさ中、大塚久美子社長ら現経営陣が中期経営計画を発表した。業績改善に向けてビジネスモデルの再構築を図る。
経営方針のあり方などを巡り、創業者の大塚勝久会長とその長女である大塚久美子社長が対立し、“お家騒動”にまで発展している大塚家具。まさにその渦中、同社は2015年12月期(2015年1月1日〜12月31日)の業績予想を発表した。
売上高は前期比で0.12%減の554億3000万円だが、営業利益は1億1000万円(前期は4億200万円の赤字)と黒字化とした。純利益は9000万円(前期は4億7300万円の黒字)とした。
同時に中期経営計画を発表。2017年度に売上高594億円、営業利益19億円、純利益14億円を目指す。加えて、積極的な株主還元策によって、2014年に1.3%だったROE(株主資本利益率)を2020年末には8〜10%に高めていく。
新築よりも既存
そのために取り組むのがビジネスモデルの再構築だ。今後、新築住宅数が減る一方で、既存の住宅数は増加傾向にあるといった市場背景を受け、これを最優先とする。
国土交通省や総務省の調査をまとめると、新築住宅は1988年に168万戸の着工があったものの、2013年には98万戸に減少した。かたや空き家を除く居住世帯のある住宅は3807万戸から5243万戸に増加している。大塚家具では、こうした既存住宅の住環境を豊かにするための施策を打つことで売り上げ成長を図る考えだ。
新規大型店や専門店を出店
具体的には、「既存店改革」「新規出店」「提携販売強化」「B2B事業強化」の4つに注力する。既存店改革に関しては、来店促進に向けたマーケティングや、店舗レイアウトの見直し、営業教育、顧客管理の強化などによって、主に中価格帯の「単品買い需要」を呼び戻す。
新規出店については、北海道、千葉、大阪・梅田など、それなりの商圏で未出店の地域に大型店を出店するほか、照明や収納家具といった「専門店」の出店も検討する。なお、現在は16店舗を運営する。
一方で商圏人口が少ない地方都市においては、地方百貨店との提携販売を強化して顧客を取り込んでいく。
B2B事業に関しては、ホテル、高齢者住宅、企業をターゲットに営業強化などを図る。
中期経営計画では、問題視されているガバナンス体制についても言及。社外取締役を2人から6人に、監査役を3人から4人に増員し、ガバナンスの強化とビジネスモデルの転換を意識した布陣に刷新したいとしている。
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