現代の日本で「預金封鎖」が起きたら?:マネーの達人(2/2 ページ)
「預金封鎖」という言葉をご存じでしょうか? 預金封鎖は、現代の日本でありうる話なのか、また、仮に起きたらどんなことになるのかを考えてみました。
いま、「預金封鎖」が起きたらどうなる?
もし、現代において「預金封鎖」が起きたらどうなるでしょうか?
これまで貯めた預貯金が凍結し、銀行には長蛇の列――いわゆる“取り付け騒ぎ”などが起こりパニック状態になるかもしれません。そこに巻き込まれないために「海外資産や株式への逃避しておけばよい」といった対応策もよく言われます。
ただし、国際分散投資の観点から外貨資産保有ということはあるにせよ、全額海外資産へというのは現実的ではありませんし、仮にそのようなパニック時であれば株式も大暴落となっている可能性が大きいでしょう。
仮の話ですが、もし現実に「預金封鎖」が起きたとすれば、ほとんどの国民が多かれ少なかれ影響をこうむることになるでしょう。
預金封鎖その現実性
では、この「預金封鎖」の現実味ですが、昭和21年当時と今とでは、経済的な基礎体力が違いますから、まず同じような状況になるとは考えにくいと思います。また、当時は明治憲法が効力を持っていましたが、現憲法下の「財産権の保護」という観点からも同様の措置を実施することは容易ではないと思われます。
ただし、筆者が自身のコラムでも書いたように、大胆な金融緩和の副作用や日本の財政が先進国で最悪の水準まで悪化していることなどを考慮すると、「預金封鎖」は現実性のない過ぎ去った古の一事件と片づけるのではなく、それを教訓として常に世の中や経済情勢、物価状況などについて敏感でありたいものだと思うのです。(阿部重利)
著者プロフィール:
阿部重利
ヒューマネコンサルティング株式会社 代表取締役
金融機関での実務経験を生かし、経営顧問・コンサルティング活動のかたわら、全国各地で講演会をはじめ、年約150本の企業研修、講演会、セミナーなどを精力的にこなしている。そのパワフルでユーモア感のある語り口と説得力は各方面から好評を得ており、これまでコンサルティングや研修、講演を受けた企業人の知識やモチベーション・スキルアップに大きく貢献している。著作に、『働き方が変わる!会社が変わる! 実践ワーク・ライフ・ハピネス』(万来舎)、『コモディティ投資入門』(アスペクト社)、ほか、『フィナンシャル・アドバイザー』誌(近代セールス社)、『ファイナンシャル・プラン』誌(きんざい)など多数。
保有資格:BCS認定プロフェッショナルビジネスコーチ/CFP(R)/金融知力インストラクター/DCアドバイザー/年金・退職金総合アドバイザー/心理カウンセラー/キャリアコンサルタント/ワークライフバランスコンサルタント
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