人工衛星で写真が撮れるんですよ。えっ、それだけ? “営業活動”は苦労の連続:仕事をしたら“宇宙”に飛んだ(後編)(2/4 ページ)
大学発のベンチャー企業「アクセルスペース」が、民間企業としては世界初となる商用の小型衛星を打ち上げた。しかし、そこに至るまでの“営業活動”は苦労の連続。どんなことがあったのか、同社の中村友哉CEOに話を聞いたところ……。
モールス信号が聞こえてきた
土肥: 2003年に人工衛星の打ち上げに成功されたわけですが、そのときはどんな感じだったのでしょうか? 「自分たちがつくったモノが飛んだぞーっ」と叫んで、仲間と抱き合ったとか。
中村: 昨日まで自分たちが触っていたモノが、宇宙に飛んでいったことが信じられなかったですね。毎日のように悪戦苦闘していたんですよ。「なんで動かないんだよ、なんで動かないんだよ」といった感じで。
ただ、無事に宇宙へ飛んでいったのですが、涙は出なかったですね。最も感動したのは、宇宙から信号が届いたとき。ロケットから人工衛星が切り離されて、地球を何周か回って、日本の上空に来たときに、初めて信号を受信します。そのとき、信号が聞こえたきたときには本当に感動しました。
土肥: 信号ってどんなものなのですか?
中村: モールス信号です。「ぷぷぷー、ぷぷぷー」といった音。微弱な信号でも受信できるように、モールス信号にしました。人工衛星の名前、温度、電圧などの情報が送られてきました。
開発をしているときには、大学の研究室に人工衛星が置かれていました。常に「ぷぷぷー、ぷぷぷー」というモールス信号の音が鳴っていたので、そのときは「うるさいなあ」と思っていたんですよ。夢の中でも聞こえてくるような感じで(笑)。でも、その人工衛星が打ち上がって、宇宙から聞こえてきたときには、ものすごくうれしかったですね。
ロケットの開発に携わっている人たちは、そのロケットが打ち上がったときに感動する人が多い。でも、人工衛星に携わっている人は違う。宇宙からの信号を初めて受信したときに喜ぶ人が多いですね。
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