飛行機は本当に「安全」なの？ 現役パイロットに聞いてきた：仕事をしたら“安全”に飛べた（5/7 ページ）

ここ数カ月、飛行機の墜落事故が相次いでいるので、不安を感じている人も多いのでは。「飛行機は最も安全な乗り物」と言われているが、本当にそうなのか。JALの現役パイロットに聞いてきた。

[土肥義則，Business Media 誠]

雲をよけるときもオートパイロット

土肥：　話はちょっと変わるのですが、飛行機って雲の影響を受けますよね。できるだけ雲をよけながら飛ばれると思うのですが、そのときはオートパイロットではなく、マニュアルで操縦するのですか？

船越：　いえ、オートパイロットですね。下の写真を見ていただけますか。

　これはレーダーの写真ですが、ピンク色の部分は雲があるところ。こうしたケースのときには、オートパイロットで方向を変えます。ただ、飛行機というのは勝手にコースを変えてはいけません。管制官に「いま、北に向かって飛んでいるのですが、目の前に大きな雲があるので、東側に○○度よけていいですか」などと要求します。

　管制官は他に飛んでいる飛行機の間隔などを見て、問題がなければ許可を出す。そうして、パイロットは雲をよけることができるんですよね。

土肥：　なぜそこもオートパイロットなのでしょうか？　先ほど着陸時が腕の見せどころ、と話されましたが、雲をよけていく操縦も技術が問われるのではないでしょうか。

船越：　高いところは空気密度が低い。空気密度が低いところをマニュアルで飛ぶと、ハンドルがスカスカになるんですよ。スピードが出ていることもあって、ちょっとの操作で敏感に反応する。もちろん、マニュアルで飛べないことはないのですが、ものすごく難しい。なので、オートパイロットのままなんですよね。