KADOKAWAが「復刻版 戦中戦後時刻表」を“再復刻” ただし販売は未定:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/5 ページ)
出版・映像メディア大手のKADOKAWAは、クラウドファンディングの手法を取り入れた受注販売サイトを3月30日に公開した。スタートアップの品目は3つ。その中に「復刻版 戦中戦後時刻表」がある。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP。
鉄道趣味とクラウドファンディングの実例を探したら、ユニークなサービスを見つけた。KADOKAWAがクラウドファンディングの手法を取り入れた販売サイト「ketsujitsu(ケツジツ)」を立ち上げている。その中の品目に「復刻版 戦中戦後時刻表」がある。価格は3万7800円。「6月30日までに200セットの購入申し込みがあったら販売します」という仕組みである。
スタートしたばかりのサービスだから、4月7日現在の扱い品目は3点のみ。時刻表のほかは「世界的切り絵作家・蒼山日菜さんのレース切り絵教室」と「自分の似顔絵をファミ通クロレビ似顔絵で描いてもらえる権利」がある。KADOKAWAといえば出版・映像のイメージだけど、ketsujitsuの取扱品目は体験的なサービスもあるようだ。
レース切り絵教室は8640円で、40人募集のところ32人の参加。4月9日、締め切り日で残り8人。このペースだと実現できるかどうか。似顔絵は5万円で予定数の10人に達して商品化成立。私が注目している「復刻版 戦中戦後時刻表」は3万7800円で、今のところ参加者は11人。ちょっと寂しいスタートとなった。実は、ほんの3日前まで参加者ゼロ。3月30日のオープンから1週間以上も経ってゼロ表示とは、KADOKAWAさん正直すぎる。呼び水的に3件くらいダミーの申し込みを確保すればいいのに……とハラハラしていた。
乗り鉄、時刻表好きとしては興味深いし、鉄道について著述する業者だから資料として手元に置きたい。今のところ様子見だけど、成立しそうなら購入予算をやりくりしようと思う。
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