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米国だけではない! 70兆円市場を狙う英国宇宙ビジネス:宇宙ビジネスの新潮流(2/2 ページ)
近年、官民一体で宇宙事業投資を加速しているのが英国だ。今回はその一連の動向をお伝えする。
米国以外で初の宇宙港を建設
英国はスペースポート(宇宙港)への投資にも積極的だ。これまでの連載でも紹介してきたが、近年は高度100キロメートルまでの弾道宇宙旅行の分野が盛り上がりを見せている。中でもリチャード・ブランソン氏が率いる英Virgin Group傘下の米Virgin Galacticが市場をリードしてきている。弾道宇宙旅行サービス実現のためには宇宙船が離着陸するためのスペースポートが必要となるが、同社は既に米国ニューメキシコに「スペースポート・アメリカ」を開港済みだ。
また宇宙旅行以外に、将来的な宇宙産業育成のためにもスペースポートというインフラ構築は重要だ。こうした状況を鑑みて、2014年7月に英国政府は、2018年を目標に米国外では初となるスペースポート開港計画を発表した。候補地としては当初8カ所がリストアップされていたが、今年3月までに絞り込みが行われ、現在6カ所(Campbeltown Airport、Glasgow Prestwick Airport、Llanbedr Airport、Newquay Cornwall Airport、RAF Leuchars、Stornorway Airport)が建設候補地として残っている。
このように、近年英国は宇宙ビジネスでの成長戦略を描き、積極投資を続けてきている。宇宙ビジネスは商業化を推し進める米国や、国家主導で強力推進する中国、インドだけでなく、さまざまな国や地域を巻き込んだ大転換の時代になって来ているのである。
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