ポイント高還元率でもクレジットカード会社が損をしない理由:マネーの達人(1/2 ページ)
年会費無料・高還元率をうたうクレジットカードはいくつかありますが、そのカラクリをご存じですか? 今回は、クレジットカード会社が利用者にポイントを還元しても損しない理由を教えます。
以前、年会費無料・高還元率に重きを置いた、「コスパ重視型クレジットカードBEST5」を紹介しました。TOP5は以下の通りでした。
各カードの特徴と個人のニーズを照らし合わせ、一番有利なカードを選択して利用することでよりお得になるわけです。しかし、上のランキングを見るとこんな疑問がわいてきます。
ポイント高還元率なのはうれしいけど、クレジット会社は損をしないの?
確かに、ポイントは現金と同じように利用することができますし、種類によっては現金化することも可能です。利用者にポイントを還元し過ぎてしまえば、クレジットカード会社に負担がかかるはず。
実は、クレジットカード会社は教えてくれませんが、高還元率でも損しないようになっています。今回は、そのカラクリをちょっとご紹介。
ポイント有効期限が指し示すもの
まず見ていただきたいのが、ポイント有効期限ワーストランキング。
お気付きかもしれませんが、ワースト3に入った3カードはすべて、コスパ重視型ランキングにランクインしているカード。これは何を指し示しているのでしょうか?
結論から言うと、カード会社は還元率を高く設定する代わりにポイント有効期限を短くし、ポイント失効あるいはカードの継続利用を狙っているのです。
当たり前の話ですが、ポイント有効期限が無制限なら、利用者がポイントを交換する確率が高くなります。利用者目線で言えば、セゾンカードの永久不滅ポイントのような有効期限無制限ポイントは利用しやすいですが、カード会社からすると実は不利――そんな理由から、クレジット各社が発行するカードには以下の基本的方程式が存在します。
- 高還元率+ポイント有効期限が短い
- 低還元率+ポイント有効期限が長いor無期限
この方程式に、仮の数字を当てはめてみます。
- Xカード:還元率1.0%、ポイント有効期限12カ月
- Zカード:還元率0.5%、ポイント有効期限無期限
あなたなら、どちらのカードを利用したいと思いますか?
答えは人によって違うと思いますが、Xカード利用者のポイントが失効してしまうこと、または失効を防ぐための条件を満たすためにカードを利用することはよくあるようです。
そういうケースが出てくるのを見込んでいるので、カード会社は高還元率を提供できる。これがクレジットカードのカラクリというわけです。
Xカードの利用者の半分が全ポイント交換したとしても、Zカードの利用者全員がポイント交換したときと同等の支払いですむ計算になります。それなら高還元率を餌にしてより多くの客を誘い込み、利用者を増やしたほうがカードのPRにもなる――といったところでしょうか。
ちなみに、上述したポイント有効期限ワーストランキング3カードのうち、Orico Card THE POINTは「ポイント加算月を含めて12か月後の月末」。つまり、文字通り有効期限は12カ月になります。
リクルートカードは「最後に共通ポイント(通常)を付与された月の12カ月後の月末まで」。楽天カードは「最後にポイントを獲得した月を含めた一年間に新たなポイントを獲得しない場合ポイント失効」となりますが、「一年間一度でもポイント獲得すれば、ポイントの有効期限が切れることはありません」。
・参照リンク:オリコポイントの有効期限
・参照リンク:リクルートID規約 ポイント付与・利用条件一覧
・参照リンク:ポイントの有効期限について(楽天市場)
つまり、「リクルートカードと楽天カードは定期的にカードを利用すればポイントが失効することはない」ということ。違う見方をするなら、「ときどき使ってくれないとポイントがなくなりますよ」と、警告しているとも言えます。
利用者側からすれば、「ときどき使ったほうがポイント的にお得ならメインカードにしてしまおう」と考えます。これがカード会社の狙い目なのでしょう。カード会社からすれば、高い還元率を設定しても元が取れる見込みがあるということなのです。
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