「ハラル認証」手続きと運用体制の整えかた(後編)(1/3 ページ)
ムスリム(イスラム教徒)を対象にビジネスをするなら「ハラル」への理解は欠かせません。後編は、さまざまな企業の取り組みを紹介するとともに、運用体制の整えかたをみていきます。
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本記事は企業実務のコンテンツから一部抜粋・編集して掲載しています。
アラビア語で「合法的なもの」「許されたもの」を意味する「ハラル(HALAL)」。イスラム教の教えに則った“健全な商品や活動”全般を指し、ムスリム(イスラム教徒)を対象にビジネスをするなら、必ず理解しておかなければならないルールである。
前編で見てきたとおり、難しいのは、国や地域によって厳密さが異なる点だ。豚やアルコール由来のものが禁止される点は共通していても、社会や習慣の違いなどから解釈が分かれるものもある。
そこで、専門機関が審査し、ハラル性を判断するのが「ハラル認証」である。制度に詳しい、一般社団法人ハラル・ジャパン協会の代表理事・佐久間朋宏氏は言う。
「認証機関は国や地域ごとに置かれ、国際的に統一された規準はありません。審査を通った製品やサービスには各機関の認証マーク(図表1)の使用が許可され、ムスリムの人たちはこのマークの有無を非常に重視します。
宗教上の配慮というだけでなく、世界人口の約4分の1を占めるムスリム市場を考えれば、ハラルに取り組むことは企業にとって大きな可能性を秘めています」(以下、発言は佐久間氏)
ハラル認証を取得するには
一般に、日本企業がハラル認証を取得する方法は2種類ある。1つは海外の認証機関に直接申請する方法、もう1つは国内の認証機関に申請する方法だ。
海外の認証機関の場合、手続きはすべて英語または現地語になるが、郵送だけでなく、認証機関によってはメールやオンラインで申請を受け付けている。
「取引が複数の国にまたがる場合は、国際的に活動している認証機関を選ぶとよいでしょう。現時点では、審査規準が厳格なマレーシア・イスラム開発庁(JAKIM)のほか、インドネシア・イスラム学者評議会(MUI)、シンガポール・イスラム教評議会(MUIS)、サウジアラビアのムスリム世界連盟(MWL)なども影響力の大きい機関です。ただ、これらは現地に工場がないと申請できない場合があります。
また、1つの認証がすべての国や地域に通用するわけではなく、輸出入を伴う場合、最終製品の出荷先となる相手国が認める機関の認証が必要です。申請前に必ず確認するようにしてください」
日本では、海外の認証機関から公認された宗教団体やNPO法人、民間企業が認証を行っているが、相互認証の要件や認証取得の難易度は異なる。各機関では、ハラル研修や関連講座(有料・無料)を開いているので、一度参加してみるとよいだろう。
「申請書の形式や手続きは認証機関によってさまざまですが、ISOやHACCPを理解していればそれほど難しいものではありません。申請に必要なのは、おおむね図表2のような内容です。原則として、1つの案件(製品・工場)ごとに申請が必要です」
ほとんどの認証機関は、申請された内容を精査し、問題がないと判断すれば視察チームが工場へ出向いて実査を行う。この視察にかかる交通費や諸経費なども請求対象となるため、申請時に確認しておいたほうがよいだろう。
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