病院検索サイト「ZocDoc」のエンジニアは、どんなビジネスを考えているのか:日米のビジネス事情の違いを知る(1/6 ページ)
全米展開する病院検索レビューサイト「ZocDoc」で、日本人唯一のエンジニアとして活躍する奥西正人氏は、近い将来独立するという。どんなビジネスを始める予定なのか。ニューヨークでSix ApartのCEOを務める関信浩氏が聞いた。
ニューヨークでSix ApartのCEOを務める関信浩氏が、米国でのビジネスに力を入れる日本人アントレプレナー(起業家)や、日本とのビジネスに興味を持つ外国人アントレプレナーと対話する「アントレプレナー対談。日米のビジネス事情の違いを知る」。第2回は、米国在住18年のソフトウェアエンジニア・奥西正人さんをゲストにお迎えします。奥西さんは現在、ニューヨークを中心に全米展開する病院検索レビューサイト「ZocDoc(ゾックドック)」で、日本人唯一のエンジニアとして働いていますが、近い将来独立し、日本と米国をつなぐビジネスを始める予定だと言います。そんな奥西さんと、長年にわたって米国を拠点にし続ける理由や、ニューヨークならではの情報収集の仕方などを話し合いました。
プロフィール:
奥西 正人(おくにし まさひと)氏
テクノロジスト、エンジニア、パーカッショニスト。米国在住18年。米国ロスアンゼルス、ニューヨークのIT通信業界にてエンジニア並びにマネージャーとして10年以上キャリアを積み、2013年に急成長中の病院検索レビューサイト「ZocDoc」の運営会社に入社する。現在は同社で開発チームのエンジニアとして活動しながら、日本と米国のスタートアップを支援する 「Japan NYC Startups」を主宰している。
関 信浩(せき のぶひろ)氏
米Six ApartのCEO 兼 米Infocom Americaの取締役務める関信浩氏。1969年、東京生まれ。1994年、東京大学工学部卒。1994年から2003年まで、日経BP社で編集や事業 開発に従事。 2002年カーネギーメロン大学ビジネススクールで経営学修士(MBA)を取得。カーネギーメロン大学在学中に、ビジネスプランコンテス トで特 別賞などを受賞。2003年12月、シックス・アパート株式会社を設立し代表取締役に就任(2015年5月より顧問)。2013年6月よ り米Six ApartのCEOに就任(現任)。2015年5月より米Infocom Americaの取締役に就任(現任)。2015年に米FabFoundryを設立。
日本人エンジニアが少ないニューヨーク
関: 奥西さんの勤務先で運営している病院の検索レビューサイト「ZocDoc」は、まだ日本人にはあまり知られていないサービスだと思うので、簡単に事業の紹介からお願いできますか?
奥西: ZocDocはオンライン上で、ユーザーが自分の持っている保険の種類や、希望のスケジュールから病院や医者を探し、気になった病院をその場で予約できるサービスです。予約するプロセスの中で医者のリストが出てくるのですが、その中に患者からのレビューや、医者のプロフィールが含まれているので、ユーザーはそれらの情報を見て予約できます。
簡単にいうと、レストランや飛行機を予約するときに、ユーザーが当たり前のように使っているオンラインサービスを、そのままドクターの予約に持っていったという感じです。そういう意味では、「誰も思いつかなかったのか!?」というくらい単純なサービスでもあるのですが……(笑)。米国は医療システムが複雑で、特に保険を扱うようになると大変なので、それらをZocDocのシステムによって簡素化したいと考えています。
関: 奥西さんは今ニューヨークでエンジニアをされていますけれど、ニューヨークでエンジニアとして活躍している日本人って少ないように思います。シリコンバレーはこの10年で少し増えたかなという感じはありますが、ニューヨークはまだまだですよね。シリコンバレーでは毎月、日本人のエンジニアが集まる飲み会が開催され、毎回20〜30人くらい集まるそうです。Six Apartがシリコンバレーに本社を構えていた2000年代前半は、もっと日本人エンジニアは少なかったんですが、今はずいぶん事情が変わってきましたよね。
奥西: そうですね。
関: そんな中、ニューヨークでエンジニアとして活躍されている奥西さんと今日話したいなと思っているのは、大きく2つあります。1つは、米国内で日本人エンジニアが行く先として、「シリコンバレー」は分かりやすい目的地になってきましたが、じゃあニューヨークってどうなの? という話。ニューヨークの日本人エンジニア事情はほとんど知られていないと思うので、ニューヨークで働く面白さや、やりがいについて教えていただきたいです。
もう1つは、今奥西さんが始めようとされている、米国と日本をつなぐビジネスについて、アイデアを思いついた段階のお話からうかがえればと思います。
奥西: 分かりました。
関連記事
- 日本人がビザ取得でハマる、大学の専攻と現在の職種の違い
米国でビジネスに力を入れている日本の起業家は、何を考え、どう動いているのか。米Six ApartのCEO 兼 米Infocom Americaの取締役を務める関信浩氏と機楽株式会社代表取締役兼ロボットデザイナーの石渡昌太氏が語り合った。 - アップルやマクドナルドは、本当に“悪の帝国”なのか?
弱体化する国家を尻目に、国境を気にせず自らの利益を追い求める“企業帝国”たち。世界が一握りのお金持ちと圧倒的多数の単純労働者に分かれていくなかで、人々が幸せになる方法はあるのか。小飼弾さんと松井博さんが語り合った。 - 生産台数9000万台超! ホンダのスーパーカブがスゴい
世界中で販売されているスーパーカブ(ホンダ)の累計生産台数が9000万台を超え、あと数年で1億台を突破しそうだ。50年以上前に発売されたスーパーカブは、なぜ今でも売れ続けているのだろうか。ホンダの広報部に聞いた。 - 値段は競合の2倍――それでもカシオの電卓がインドで売れる、2つの理由
1980年代からインドで電卓を販売していたが、値段が高いため知名度の割に売れていなかったカシオ。しかし2010年発売の新商品が大ヒット、以来インドでの売れ行きはずっと好調だという。高くても売れる、その秘密とは?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.