先の見通せない時代、リーダーに必要な3つの要素とは:新しい考え方(前編)(2/5 ページ)
チームや組織を引っ張っていくリーダーの責任は増すばかり。悩めるリーダーに「アイディール・リーダー」という新しい考え方を提示しているのが、Ideal Leaders株式会社だ。代表取締役ファウンダーの永井氏にその取り組みを聞いた。
「歴史に学べる」かどうか
――1つめに挙げられた「理」とは、リーダーシップについての理論を指しているのですか?
永井: 「本質を探求し続ける」という意味合いですね。私自身も、業務の中で、問題設定が短期的で本質的ではないことに気づかされることがあります。業績を良くする、予算を達成するといった一見当たり前の目標が、実は本質的ではない、ということがよくあるのです。
現場のスタッフや管理職であれば、その矛盾に気がついてもやるしかない、という場合もあるでしょう。でも、経営者、社長ですら計画を達成する、株主からの要求に応えるといったことが最終目標になってしまっているケースがあります。
でも「アイディール・リーダー」で定義する「理」とは、そういうことではないんです。もっと本質的に、自分たちがどのようにお客さまや、引いては社会のために役立っているのか、まで考える。そこまで考えて行くと、「今やっていることを止める」ほうが良いという決断すらあり得るんです。
実際、俯瞰(ふかん)してみれば、企業が社会の中で役割を終えた事業を、延命のために「業績を回復させます、伸ばします」と苦しい努力を続けていることがありますよね? でも「理」を追求すれば「止める」という判断がリーダーには求められている場面だってある。
――なるほど。実際、さまざまな企業を取材していると、そんな風に感じる時はありますね。
永井: そういった「理」を追求するためには、リーダーのバックグラウンドに基礎教養=リベラルアーツが備わっているかが重要です。簡単に言えば「歴史に学べる」かどうか? 世の中のリーダーシップ論の本などで述べられていることは、孔子や論語、あるいは君主論や貞観政要(じょうがんせいよう)に既に記されています。あるいは組織を考える際には、生物学や行動経済学の基礎を学んでいるか否かでその本質的な理解が大きく異なってきます。
そういった基本的な学問や教養書に触れたことがない人がリーダーであるのは、その組織にとって不幸であると言わざるを得ません。
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