安倍さんが憲法違反をした理由は、米国が“親会社”だから:スピン経済の歩き方(3/5 ページ)
安全保障関連法案が衆院本会議で、自民・公明両党などの賛成多数で可決された。メディアはこぞって「法案に反対する人たち」の声を紹介しているが、筆者の窪田氏はこうした反対報道にしっくりこないという。その理由は……。
オトナの事情
では、どうするか。「戦争法案」や「ハンターイ、ハンターイ」を一度引っ込めて、「日米安保」というものの根っこに何があるのかを国民ひとりひとりが冷静に見極めるしかない。
今回の安保法案は、これまでのPKO法案、周辺事態法案と同様に憲法違反の疑いが強い。ならばなぜそんなものを政府与党は「賛成」して押し進めるのかを「歴史」を振り返って考えるべきだ。そう言うと、反対派のみなさんは安倍さんをヒトラーとか戦前の日本の陸軍などに重ねたがるが、そういう印象論の話ではない。
実は海外にも今の安倍さんとよく似た人がいた。コスタリカのアベル・パチェコ大統領(任期2002年〜2006年)だ。
日本人の多くはコーヒーの産地でしょみたいなイメージしかないかもしれないが、コスタリカは朝日新聞なんかが「お手本にしろ」と説教するときに例に挙げる「理想の平和国家」なのだ。1949年に常備軍を廃止し、戦争を放棄した「平和憲法」を有しているからだ。
といっても、日本と同じでかなりビミョーなところもある。英国の国防戦略研究所が発行している「ミリタリーバランス2015」によると、「治安予算」は約4億2000万ドル。隣接するニカラグアの防衛予算が約8300万ドルということを考えれば、軍隊顔負けの「武装警察」がいることになる。496億円の防衛予算がつく自衛隊が「警察予備隊」をルーツにもっているように、「警察に毛が生えたもので陸海空軍じゃないですよ」というロジックである。
そんな「理想の平和国家」で2003年、あってはならないことが起きた。米国がイラク戦争を始める際にパチェコ大統領が国会を通さずに「支持します」と表明してしまったのだ。このような明確な違憲行為をパチェコ大統領はなぜしてしまったのか。実は戦争をやりたくてウズウズしていた、わけではなく違憲行為に走らねばならなかったオトナの事情がある。
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