安倍さんが憲法違反をした理由は、米国が“親会社”だから:スピン経済の歩き方(5/5 ページ)
安全保障関連法案が衆院本会議で、自民・公明両党などの賛成多数で可決された。メディアはこぞって「法案に反対する人たち」の声を紹介しているが、筆者の窪田氏はこうした反対報道にしっくりこないという。その理由は……。
日本は米国の“属国”
それが許せないというのなら、われわれは親会社から完全に独立をしなくてはいけない。その時、集団安全保障の枠組みはどうするのか。「よその戦争に巻き込まれたくない」ということは集団安全保障を否定することだ。だったら、永世中立国のスイスのようにすべて自前で「守り」を固めるしかない。朝日新聞やらが目指せという平和国家コスタリカは、有事の際には徴兵制が導入される。それが日本の目指す「平和」のあり方なのか。
宮崎駿さんは「武力以外で中国を抑えるために平和憲法をつくった」みたいなことを言ったが、ある意味で正しい。軍事バランスを保つため、米国は平和憲法という「企業理念」を掲げる100%子会社をこの地に設立した。地球上でもっとも尊い理念を実現するためには、この子会社は親会社の軍事力に依存し続けるしかない。
今回、マスコミが報道しなくてはいけないのは、デモの人数や辻元さんの絶叫ではなく、平和憲法よりも日米安保が“上”に位置しているという事実だ。それは「この国は米国の属国だった」という多くの日本人が受け入れがたい真実を浮かび上がらせることになる。
この醜悪な現実を前にして、日米安保と平和憲法というものをもう一度改めて考えるべきではないのか。
「ハンターイ、ハンターイ」ばかりでは道は何も開けない。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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