ひっそりとデビューしたcdmaOne向けBluetoothアダプタを斬る(2/2)

【国内記事】 2002年1月30日更新

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巧妙にセキュリティと利便性を両立

 Bluetoothのような自由度の高い無線接続で気になるのがセキュリティ問題。本製品のような形態のアダプタは,画面や操作部を持たないため,特定かつ複数のBluetoothデバイスからの接続のみを自由に許可するといった事前の設定が難しい。とはいえ,認証のたびにパスキーの入力が必要となるのも煩わしく,無線接続のメリットをスポイルしてしまう。

 cdmaOne端末では最新シリーズとなる4桁型番の製品はBluetoothの設定機能(現状はパスキーの変更のみだが)を持っている。今後登場する端末も同じ仕様となることが予想され,利用をこれらの製品に限定すれば上記のような問題は発生しない。しかしBluetoothの設定機能を持たない4xxシリーズや3xxシリーズのユーザーの方がまだずっと多く,4xxシリーズに至っては現行製品だ。


4桁型番のcdmaOne端末ではBluetoothアダプタの機器名と固有アドレスの表示,パスキーの変更が可能

 そこで本製品の場合,最後に認証したBluetoothデバイスのリンクキー(固有のアドレス)を記憶し,同じリンクキーのデバイスから続いて認証の要求があった場合に限ってパスキーの入力を不要にしている。つまり同じBluetoothデバイスから本製品を利用し続ける限り,パスキーの入力は初回の1度だけで済む。

 この仕組みによってPacketOne対応端末すべてで一定のセキュリティと利便性を両立させている。古い端末でもメリットを十分享受できるという点では大いに評価できるだろう。

導入は容易,十分なスループットを確保

 本製品の導入はいたって簡単だ。これはスレーブ(呼出される)デバイスと割り切った設計のおかげで,本製品側での事前の設定や操作は事実上ない。そのかわり本製品同士,つまりcdmaOne端末同士でのデータ通信は行えないが,実用上はほとんど問題ないだろう。

 PCやPDAでBluetoothが利用できる状態であれば,使い始めるのは簡単だ。本製品とcdmaOne端末を接続し,本製品の電源を入れる。PCやPDA側でBluetoothデバイスの検索を行い,パスキーを入力するとBluetoothでの接続が可能になる。


本製品とPCをBluetoothで接続したところ。デバイスクラス「携帯電話」で本製品が認識されていることが分かる


サポートされるプロファイルはSerial ProfileとDialup Networking Profile。PCからはシリアルポート側を利用して本製品をモデムとして利用する。

 なお本製品にはモデム設定ファイルなどは付属しない。従ってBluetooth接続用に割り当てられたシリアルポートに対し「標準モデム」を割り当ててモデムを設定し,ダイヤルアップネットワークでこのモデムを指定する。PacketOneでの接続なら特にモデムとしての設定は不要だ。

 実際に,本製品+「C406S」と比較用にRapiraカードでPacketOne(64Kbps)でインターネットに接続してみた。速度測定サイトでは本製品+C406Sが47KbpsとRapiraカードを上回った。PacketOneのスペック上の最大通信速度である64Kbpsの75%ほどの通信速度になったが,Rapiraカードの結果を考慮すれば電波状態に少々難があったともいえる。少なくともBluetoothを利用したために大きく通信速度がスポイルされることはなさそうだ。



同じ時間帯に@niftyをISPとして利用して受信速度を計測。音声端末と本製品を組み合わせたほうが送受信感度が良好になることもあって好結果となった。一体型カード端末に対する1つのメリットともいえる

ワイヤレスと高い汎用性がメリット,さらなる小型化を

 便利に使えるBluetoothアダプタだが,やはりサイズ的な問題や,常時待ち受けが事実上不可能という点からスマートさに欠ける印象は拭えない。ワイヤレスというメリットはもちろん大きいのだが,USB接続ケーブルもコンパクト化が進んでおり,利用のたびに着脱を行うようでは使い勝手も携帯性もそれほどの差はないと思う人も多いだろう。

 もちろんこれらのデメリットをさしおいてもBluetoothの汎用性の高さとワイヤレス接続が持つ意味はそれなりに大きい。PCとPDAで別個に接続ケーブルなどを購入する必要はなくなり,PDAの場合は買い換えるたびに専用の接続ケーブルも買い換えなくてすむ。

 ノートPCに比べ,よりさまざまな場所で使用することが多いPDAではワイヤレスによるメリットは大きい。ケーブルでつないだPDAとケータイの両方を片手で保持し,もう片方の手でPDAを操作するといった少々無理のあるスタイルを取らずにすむ。

 今後,ノートPCやPDA側でBluetooth標準内蔵が進めば,汎用性の高さが大きなメリットになるはずだ。

 なお,価格はオープンプライス。実売価格は2万円前後だという。

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[坪山博貴,ITmedia]

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