Mobile:NEWS 2002年6月11日 00:51 AM 更新

504iを解剖する(2)
必ずしも40和音ではない……その秘密(2/2)


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 もちろん、これは曲の作り込み度合いとのトレードオフになる。多数の音を重ね、1音にエフェクトをかけ、音色にこだわるほどデータ量は多くなる。

 “フルコーラスのデータを作ってほしい”という要望も多数来ると木内氏は言うが、一定のクオリティを維持した上でフルコーラスのデータを作るのは10Kバイトではなかなか難しい。

 先ほどFM音源のMA-3の特徴として、歌詞などをサンプリングして音色として使えることを挙げたが、実はこれも10Kバイトの壁に制約を受けている。MA-3の場合、8ビット/8KHz(サンプリングレート/サンプリング周波数)という高品質なデータを利用できるが、10Kバイトの中では「1秒強しか録れない」(木内氏)。

 サンプリングした音源の利用は表現力を大きく増すが、「容量の問題で現状ではあまり使えていない」(木内氏)のが実情だ。もしも30Kバイトならば、サンプリングしたリアルな音色もたっぷり使えるという。

 実際、ミュージックエアポートがデモ用に作成した大きなサイズの着メロデータを視聴したが、“これが着メロ?”と思えるような出来映えだった。

必ずしも40和音ではない……その秘密

 32和音、そして40和音とカタログ上には着信メロディスペックが表記されている。しかし実際の着メロデータは、「必ずしも40和音になるわけではない」と木内氏。

 40和音を使わない理由は主に2つある。1つはデータサイズ制限の問題だ。

 2つめは、ヤマハの音源チップ「MA-3」の仕様によるものだ。FM音源では、複数の波形を組み合わせて音色を作っていく。一世代前の16和音対応チップ「MA-2」では、8種類の波形から2つを組み合わせて音を作っていたが、MA-3では32種類の波形を組み合わせて音を作れるようになった。

 MA-3での組み合わせ方は2種類ある。4つを組み合わせる「4オペレーションモード」と、2つを組み合わせる「2オペレーションモード」だ。実は32和音が可能なのは2オペレーションモードだけ。4オペレーションモードは「1音1音の表現力が大幅に違う」(木内氏)と言うように凝った音作りが可能だが、同時発音数は16音になってしまう。

モード同時発音数音の表現力
MA-3・4オペレーションモード16音非常に良い
MA-3・2オペレーションモード32音良い
MA-2・2オペレーションモード16音普通

 この2オペレーションモードと4オペレーションモードのどちらを使うかは、着メロ制作者のポリシーによるようだ。ミュージックエアポートでは、4オペレーションモードを中心に使う。それは「単にいっぱい音を鳴らしても、音圧が上がって音が割れてしまう」(同社の斉藤豊プロデューサー)からだ。

 「2オペモードを使い同時発音数で勝負してもいいが、ごちゃごちゃ鳴ってしまい音の分離が悪い場合もある」(斉藤氏)

 いわゆるカタログスペック上は、32和音、40和音とうたわれているが、和音数をむやみに増やせばいいというわけではないというのが、実際の着メロの現実なのである。

制作力が問われる、504i用着メロ

 504iの着メロを聞いて、まず感じるのはクオリティが向上したということ。データのサイズこそ10Kバイトのままだし、和音数も16和音から大幅に変わったわけではない。しかし、新世代の音源チップを使ったことで、ひとつひとつの音の表現力が増した。

 しかし、ここには“コンテンツプロバイダによって”という但し書きが付く。例えばFM音源でいうと、音がよくなったのはより複雑な波形合成が可能になったこと、そしてサンプリングした音が使えるためだ。手間暇かければいい音になる──着メロの音のクオリティは、制作者の力量によって大きく差がつくようになったともいえる。

 また「音色に凝った16音で行くか」「32音を使い、同時発音数で勝負するか」「曲の厚みを削ってフルコーラス入れるか」という選択も、楽曲の聞こえ方に大きく影響する。

 「表現力が上がったので、アレンジ能力が問われてしまう」(斉藤氏)わけだ。

 実際、同じ曲を複数のコンテンツプロバイダのサイトからダウンロードしてみると、鳴り方が大きく違うことが分かる。曲のアレンジだけでなく、音色も異なる。

 複数の着メロサイトに加入する人はあまりいないかもしれないが、楽曲データの作り方という意味では、これまで以上に、コンテンツプロバイダによって差が出るのが504iの着メロだ。自分のスタイルに合ったデータを提供するコンテンツプロバイダを、うまく選んでいく必要があるだろう。

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▼ ミュージックエアポート

[斎藤健二, ITmedia]

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