Mobile:NEWS 2002年6月25日 04:30 PM 更新

「月産100万個」〜携帯CPUのデファクト目指す日立のSH-Mobile(2/2)


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 動画もSH-Mobile上で再生できる。ビットレート64Kbpsの(MPEG-4)動画を、秒間15フレームの再生可能だ。実際のところ、「(現在採用した)メーカーは、余力を残した構成になっている」(伊藤氏)。


SH-Mobileは、SH3コア+DSPが中心。ベースバンドチップからはSRAMとして見えるため、各種ベースバンドと接続可能だ。この点はシリアル接続を用い、接続チップが制限されるOMAPと異なるところ。また、待ち受け時などはSH-Mobileのほとんどの機能を停止し、ベースバンドチップがSH-Mobileの一部をスルーする形でディスプレイを操作できる。「各種モジュールの電源を落とせる。なおかつ電源分離してあって、ベースバンドチップがシステムを制御できる。待ち受け時には、消費電力を数マイクロアンペアまで低減させられる」(川崎氏)。カメラモジュールを接続できるインタフェースがあらかじめ用意されている点も特徴だ

「プラットフォームの思想で、SH-Mobileが請け負う」

 もう1つの利点は、端末開発負担の軽減だ。1つの部品としてSH-Mobileを見た場合、1万個ロット時で2500円程度と安いものではない。しかし、現在の端末で最も大きなコスト負担となっているのはソフトウェア開発だ。KDDIが公開した資料によると、端末のコスト構造は以下のようになっている。

コスト比率
コア部材(液晶、チップ、メモリ27%
その他材料費30%
開発費その他経費43%

 川崎氏は「今の携帯電話は開発費が数十億かかる」と説明する。そのうちの約半分はソフトウェア開発など、部材以外の「開発費その他経費」が占めている。アプリケーションプロセッサの導入によって、通信部分とアプリケーション部分の開発を分離できれば、開発期間を短縮でき、ひいてはそれが開発コスト削減にもつながる(1月18日の記事参照)。

 「SH-Mobileを導入すると、基本的にアプリケーション部分が分離できて独立して開発できる。しかもプラットフォームが用意されている。確かにデバイスとしては1個増えるが、開発費圧縮で相殺できる」(川崎氏)。

 アプリケーション開発においては、多くのミドルウェアがSH-Mobileをサポートしているのも強みだ。ACCESSの携帯向けブラウザ、アプリックスのJava VM(1月18日の記事参照)、エイチアイの3Dポリゴン(5月21日の記事参照)、オフィスノアの動画コーデック、ナビタイムジャパンの地図描画エンジン(3月15日の記事参照)などがSH-Mobileに対応している。「LSIに加えて、開発ボード、デバイスドライバ、μITRON、基本となるミドルウェアは日立が準備する」(川崎氏)。そこにパートナーベンダーが用意するミドルウェアが載り、端末メーカーは本当にアプリケーション部分だけを作ればいい。


OS、ミドルウェアはSH-Mobile側から用意される。端末メーカーは、ユーザーが触れるインタフェースに近い部分の作り込みに注力できるようになっている。ただし、現在のところJavaや3DだけをSH-Mobileで動作させ、ベースバンドチップ上で従来のソフトウェア資産を動かしている端末もあるようだ

 ほかのアプリケーションプロセッサが、ベースバンドチップで標準的に使われているARMコアをベースとしているのに対して、SH-MobileはSH3+DSPという構成。しかし「いくらARMにソフトウェア資産が多いとはいっても、すぐに使えるミドルウェアが揃っているのはSH-Mobile」だと日立は主張する。

VGAカメラ対応のSH-Mobile、今年の秋量産

 1世代目が登場したばかりのSH-Mobileだが、デファクトスタンダードの獲得に向けてさまざまなシリーズ展開を予定している。


SH-Mobileのロードマップ

 既にサンプル出荷が始まっているのが、VGAカメラに対応したSH-Mobile Jrだ。「量産出荷は今年の秋から。VGAのモバイルカメラに対応するほか、内蔵の128Kバイトのメモリを削除している。ミドルウェアの性能は若干落ちるが、コスト面でメリットが出てくる」(川崎氏)

 続いて、製造プロセスを0.18μmから0.15μmにシュリンクしたSH-Mobile Vの投入を予定。「ハードウェアでMPEG-4のアクセラレータを積み、テレビ電話にも対応する。秋にはサンプル出荷、来年の春モデルから実際に携帯に載ってくる」(川崎氏)。こちらのチップは、本格的に3Gに向けたものだ。

 「第3世代でなければできないサービスはテレビ電話だけ。ほかのサービスの内容は、2.5Gも3Gも変わらない」と川崎氏。MPEG-4エンジンをハードウェア化することで、消費電力を抑える狙いもある。またJavaアクセラレータもハードウェアとして搭載。「SH-Mobileに比べても6倍くらいの性能。携帯では、世界最高レベルのJava性能」(川崎氏)だとする。

 内蔵カメラについても「カメラモジュールはSXGAのメガピクセルまで対応している」(伊藤氏)と、100万画素時代が到来することを睨む。3Dエンジンのハードウェア化についても検討中だ。既に日立は、英Imagination Technologies(IMG)からのグラフィックスコアのライセンス供与も発表しており(4月19日の記事参照)、3Dコアにしても選択肢は豊富だ。

 各アプリケーションプロセッサは、CPU、DSP、ハードウェア回路のバランスが異なっている。動画再生を強力なCPUで行うプロセッサもあれば、DSPで処理するもの、動画専用のハードウェア回路を搭載するものもある。日立はCPUとDSPは実行するアプリケーションによって得意とする分野が異なる、とした上で基本的にマルチメディア処理はDSPを中心に使う。

 「DSPはフレキシビリティが一番の特徴だと思っている。だが、結局、携帯はローパワー。DSPでいくら機能が実現できるといっても133MHzでずっと動かし続けるわけにはいかない。使用時間が長く処理の深いようなアプリであれば、それはハードにやらせるべき。一方、ハードはコストが上がってしまうのとフレキシビリティが下がる(のが弱点)」(伊藤氏)と、利用頻度に応じてハードウェア化を進める意向だ。

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関連リンク
▼ 日立 SH-Mobile ニュースリリース
▼ 日立製作所

[斎藤健二, ITmedia]

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