Mobile:NEWS 2002年7月5日 12:04 PM 更新

液晶高精細化、“避けられぬ”端末メーカーと“望まぬ”ドコモ

「主流が2.2インチ、解像度もQCIFからQVGAに変わりつつある──」。東芝は携帯電話向けディスプレイの進化をこのように語る。しかし、そこにはコストアップに苦しむ端末メーカーと、サービスの発展のためには単純に高精細化を喜べない通信キャリアの姿があった

 携帯電話に搭載するディスプレイが、大きな転換期を迎えようとしている。

 7月4日、東京ビッグサイトで開催されている「フラットパネルディスプレイ製造技術展」の技術セミナーで講演が行われ、NTTドコモのiモード事業本部iモードビジネス部IMT移動機担当企画担当課長の山本正明氏と、東芝モバイルコミュニケーションズ社・堀重和統括技師長が、携帯電話向けディスプレイの展望と期待について話した。

避けられぬ、高精細化への流れ

 東芝の堀氏は、「今年の末にはQVGAの解像度を持った携帯電話が登場する」と語る。当初90×120ピクセル程度から始まった携帯ディスプレイの解像度は、今やQCIFサイズ(144×176ピクセル)。もうじきQVGA(240×320ピクセル)にまで達する(4月16日の記事参照)。

 高精細化は、ある意味避けられない流れだ。モノクロ2値から256色カラー、そして4096色、6万5536色と進んできたが、26万色が達成された時点で多色化は打ち止め。携帯電話の形状を考えると、2.2インチ以上のサイズ拡大も難しい(4月19日の記事参照)。ディスプレイで差別化を図れる大きなポイントは、もう高精細化しか残っていない。ドコモの山本氏も、「思ってもいなかったほどの解像度になっていった」と述懐する。

 ただし、“やむを得ず、高精細化──”そんな側面も見え隠れする。「液晶は、部材コストの中で比率が10%を超える場合もある。(単品の部品としては)最も高いパーツだ」と堀氏。さらに技術進化のペースも非常に早い。東芝はKDDIやJ-フォン向けに、この1年で4機種を供給しているが、1つとして同じ液晶を搭載したものはない。「端末も部品も製品寿命が短くなっている」(堀氏)。

必ずしも高精細化を望まぬドコモ

 端末メーカーが高精細化を進める一方、通信キャリア側はこれを複雑な気持ちで見守っている。「(これまでのディスプレイの進化を見ると)色数が上がったことへの(ユーザーの)ウケはいい。(しかし)それをやるたびにデータ量が増えてしまう」(ドコモの山本氏)。

 液晶が高精細化してデータ量が増えれば、その分通信トラフィックも増大する。通信キャリアの収入も増えるわけで、一見、いいことずくめのようにも思える。

 しかし、山本氏は「データ量が大きくなるのを望んでいるわけではない」と語る。データのトラフィックが急激に増えると、請求書を見たユーザーは翌月からサービスの利用を控えてしまう。それを嫌っているのだ。「コンスタントに使ってもらうほうが、サービスの発展のためにはいい」(同氏)(5月31日の記事参照)。

 また、高精細化によってコンテンツプロバイダの負担が増大することも、山本氏は懸念する。機種ごとにディスプレイの解像度が異なると、コンテンツは機種ごとに個別に作らなくてはいけなくなる。「(504iシリーズでも)N504iだけが解像度が飛び抜けている(5月31日の記事参照)。うまくコンテンツを作ればきれいだが、負担が大きい」(同氏)。

 だからといって、ドコモ側で解像度を決め打ちするのにもためらいがある。「解像度をそろえましょう、という話もあるが、携帯および液晶ディスプレイの発展を阻害する可能性もある」(山本氏)。


ドコモは、(1)データ通信料を増やさずに品質向上 (2)コンテンツ開発コストを抑えたままで品質向上 を望んでいる

解決策はどこか

 コスト的な負担を覚悟しながらも、高精細化を進めざるを得ない端末メーカー。コンテンツやサービスの発展を阻害しかねないことを分かりながら、高精細化を見守るしかないドコモ。解決策はどこにあるのだろうか。

 東芝の堀氏はコスト削減策の1つとして、ディスプレイメーカーがもっと上位のレイヤーまで作り込むことを期待する。ディスプレイ部は、これまでは液晶とドライバとバックライトを個別に購入して、端末メーカーが組み立てていたのだと言う。今後は「液晶ディスプレイメーカーに全部お任せしたい」(堀氏)。

 端末が複雑化するなかで、メーカーの役割分担も次第に変わっていく。低レベルのプログラミングは部品メーカーに任せて、端末メーカーは高位のアプリケーションに専念したいというわけだ。「アプリケーションにリソースを割かなくてはならない」(堀氏)。

 さらに、JavaやWebブラウザなど端末側のCPUの負荷が増大していることから、「液晶モジュール側で描画機能をサポートするなど、小さなパイプでCPUが液晶を処理できるようになってほしい」(堀氏)。

 またドコモの山本氏は、表示品質の向上と、コンテンツ開発コスト削減を実現する手段として、「(液晶モジュール側で)画面サイズの差をなんとか吸収できないか」と提案する。

 現在の高精細液晶を搭載した端末は、従来の低解像度向けのコンテンツを表示させると小さく表示されたり、隅に片寄って表示されたりする。例えば低解像度向けコンテンツを表示した場合、画面いっぱいに拡大して表示する機能がディスプレイに搭載されれば、ある程度画面サイズの差を吸収できることになる。シャープは秋に量産を開始するCGシリコンを使ったシステム液晶に、拡大縮小機能も持たせる(4月24日の記事参照)。今後携帯ディスプレイが高精細化していく中では、このような仕組みを持たせることが必要になっていく可能性は大きい。

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▼ フラットパネルディスプレイ製造技術展

[斎藤健二, ITmedia]

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