Mobile:NEWS 2002年9月17日 01:15 AM 更新

ムービーはEV-DOで実を結ぶ──KDDI高橋氏に動画戦略を聞く(1/2)

KDDIのコンテンツの中で、最もホットなのが動画だ。コンテンツビジネス部部長の高橋誠氏に、動画コンテンツの現状と今後、そして普及のための施策について聞いた

 間もなく、2機種目となるKDDIの動画配信対応端末が発売される(8月26日の記事参照)。KDDIにとって、携帯における動画の位置付けはどこにあるのか、普及のためにどんな策を用意しているのか。KDDIソリューション事業本部コンテンツビジネス部部長の高橋誠氏に、今後の動画の展開について聞いた。

現在過渡期のムービーはEV-DOで実を結ぶ

ZDNet:これだけ動画に力を入れるのは?

 それは簡単ですよ。EV-DOという先の姿が見えているから。FOMAはパケット料金を明らかに下げられるという構造が見えないじゃないですか。われわれは、cdmaOne、1x、EV-DOという3つのシナリオをセットで次世代だと考えていて、EV-DOが来ればパケット料金をかなり抑えることができる(7月19日の記事参照)。データ量がリッチになっても耐えられるシステムを持っているという自信がある。ムービーって(リッチな次世代に)一番近いじゃないですか、分かりやすいし。

ZDNet:動画を短くしたり、サイズを小さくする考えもあるのですか

 今回、ムービーメールライトというものを提供しているのですが、これはある意味過渡期なんです。動画メールをやるにしても、パケット料金の問題が出る。今までのezmovieのそのままのフォーマットだと、どうしても料金が高くなってしまう。

 EV-DOが出てくればその問題は極めて垣根が低くなる。ただし、それまでの1年間、次世代に続くサービスを売り上げていくために、料金的な施策のほかに、テクノロジー的にも工夫して、データ量は少な目で同じような効果が得られるものを作った。

 ezmovieという当初のフォーマットを動かそうとすると、CPUパワーをけっこう食うわけです。そうすると特殊商品になってしまう。KDDIの場合には、1xをやるときに端末価格を上げずに同じような価格帯で投入したから200万台もいったわけですよ(8月30日の記事参照)。

 この高くない端末の中に(動画再生機能を)押し込むためには、若干テクノロジーをセービングしたいな、という発想がある。もう少し軽くしたいんです。それがムービーメールライトです。

ZDNet:ezmovieの導入の際に、J-フォンがムービー写メールで使っているNancyのような、特殊なハードウェアを使わない軽いコーデックは考えなかったんですか?

 考えました。MPEG-4でいくのかNancyでいくのか、社内でもかんかんがくがくの議論をしました。しかし、やはり標準化されたフォーマットを使っていきたいという頭もありました。結局はNancyにしなくてよかったな、と思っています。Nancyは軽くて、あの大きさであの画質のものが送れるというのがウリなわけですが、結局MPEG-4でもできました。そういう意味ではスタンダードを捨てる必要がなくてよかった。

ZDNet:動画フォーマットについて、デファクトスタンダードになれる自信はありますか

 いま動画の世界では、ウチのほうが圧倒的に優勢。今回2機種目で、このあとバンバンと(端末が)出ます。

年度内、200万台も見えてきた──動画対応端末

ZDNet:コンテンツの中では動画の優先度が一番高いのですか。

 動画の端末はまだ東芝の1機種しかないから(2001年12月の記事参照)、コンテンツプロバイダもそれだけに特化する勢いはないです。最初は、「1xの端末で動画対応のものが夏くらいまでには2、3機種くらいにはなるかな」という想像を元に進めたんです。ただ、1xの動画対応端末が秋になってしまったので、その部分(コンテンツプロバイダに)ご迷惑をおかけしてしまった。ですから、すべてのコンテンツプロバイダには「動画を駆使してやってください、これから機種を増やしていきますから」という形で提案しています。

ZDNet:動画へのアクセス数はどのくらいのものだとイメージしたらいいのですか。現在、動画対応端末が約60万台くらい、そのユーザーが1カ月に1度くらいは動画を見ているのでしょうか。

 一度くらいは必ず見ているでしょうね。それより激しく大きな値ではないですが。

ZDNet:当初サービスを始めるに当たって考えた数字と比べると?

 ちょっと弱い感じ。ただまあ、これからでしょうね。一番大きな問題は料金だと思うんです。月額2400円で1万円まで使えるミドルパックというものを用意して、それで十分かなと思っていたんですが、やはり2400円ではハードルが高い。そこで今回1200円で0.1円のパック(パケット割)を用意して(8月26日の記事参照)、動画コンテンツを含めて力を入れていきたいと思っている。

ZDNet:料金が変われば、動画へのアクセスの量は大きく変わるでしょうか

 アクセスの量は増えていくと思いますよ。ただし、それよりも動画対応する端末の数だと思います。だいたい新しいサービスを提供する場合、100万を超えていかないと(ユーザーが)そのコンテンツに食いついていかないので、彼ら(コンテンツプロバイダ)としては期待感がすごくある

ZDNet:年内、動画対応端末が100万台を超えるでしょうか?

 どうでしょう。でも普通は行くでしょうね。

次ページ:今後のムービーの方向は?

[斎藤健二, ITmedia]

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