Mobile:NEWS 2002年11月27日 05:07 AM 更新

「機能進化に対するデザインの回答」〜NEC、N504iSを語る

「折りたたみは背面が顔」と語るNECが、カメラ、iモードロゴ、背面液晶、スピーカーと数多い要素をまとめるために使った手法はグループ化。“スマートガジェット”というキーワードで組み立てられた「N504iS」のデザインについて、NECに聞いた

 多機能性が話題のNTTドコモのNEC製端末「N504iS」(11月26日の記事参照)。しかし、カメラの搭載を境にデザインが変わった点も見逃せない。

 「デザインのフルモデルチェンジに近い部分もある」と話してくれたのは、N504iSのデザインを担当した寺内有紀夫技術課長(NECネットワークス モバイルターミナル事業部商品企画部)だ。

 近年、背面液晶やカメラなどマルチメディア系の機能が携帯電話に詰め込まれる中で、各社ともデザインの大幅な変更を余儀なくされている。N504iSも、「カメラ、iモードロゴ、スピーカーが上側(背面)にあり要素が増えてきている」(寺内氏)ことがデザインの変化も促した。

「折りたたみは背面が顔」〜スマートガジェットを目指す

 「折りたたみ型は背面が顔」と話す寺内氏が取った手法は、各要素をグループ化してまとめるというもの。N504iSの背面を見ると、シンプルな背面に液晶、iモードロゴ、カメラがまるで一体型モジュールのように埋め込まれているのが分かる。

 機能が集中しがちで、雑然としがちな背面をシンプルにまとめることで、N504iSのキーワードであるという「スマートガジェット」を表現した。これが、NECの「機能進化に対するデザインの回答」(寺内氏)だ。

 もっとも、基本コンセプトである「シンプルでニュートラルなデザインという線は変えていない」(寺内氏)。背面以外の部分は、うまく小技を利かせながらデザインの新鮮さも表現している。

 「P504i」で松下が仕掛けた“薄型化”もデザインの刷新を迫る。N504iSも大幅に厚みを抑え2センチを切る薄型フォルムを実現。しかしその中で、少々盛り上がってしまったスピーカー部は賛否両論ある部分だ。寺内氏は「スピーカーなのでどうしてもふくらむ。ならば逆にうまく使ってやれ」と、敢えてここを曲面とし、「薄型でスマートなデザインの対比として柔らかな面」を強調したという。

 「薄型だけを意識しているわけではない。持ったときのバランスが重要だ」と寺内氏は言う。


薄く、フラットな形状の上部に対して、スピーカー部がもっこりとふくらんでいるのが分かる

「折りたたみ老舗のイメージがまだあるのであれば……」

 背面部に盛り込むパーツが増えてくる中で、最近邪魔者扱いされがちなのがアンテナ(11月25日の記事参照)。他社の端末が次々とヒンジ部にアンテナを移したり内蔵を果たす中で、NECはかたくなに背面のアンテナを配置している。

 寺内氏は「背中のアンテナは背面のデザインを考えたときには確かにネック」と認めながらも、「調査をすると、この位置を好むユーザーが多い」と話す。特に若い女性には、この位置のアンテナが好まれるという。

 決して、この部分に配置するこだわりがあるわけではなく、「商品のターゲットを考えながらいろいろな位置を考えている」と言うが、長年の“N”ユーザーがデザイン上のアイデンティティをこのアンテナ位置に持っている可能性もある。「折りたたみの老舗的なイメージがまだあるのであれば、うまく使っていきたい」(寺内氏)。

 ちなみに、今回のN504iSでは見逃せないカラーがある。NECとしては初めての試みとなるツートンカラーを採用した「プラネットブルー」だ。

 「つや、光沢感。モノにこだわりを持った方に選ばれる色」と寺内氏。100万台以上の出荷が見込まれる携帯電話端末では、1色でも失敗すると大きな打撃。そんな中で少々冒険した色がこれだ。これまでの携帯電話にあまりないツヤのある塗装を使い、つい磨きたくなるピアノのような質感を表現した。指紋や脂が目立ちやすいという点はあるが、これが逆に“単なる道具”としての携帯電話ではなく、いつもピカピカに磨いておきたくなる“愛着の持てる小物”的な味を出している。


ツヤのある、しっとりした塗装が特徴のプラネットブルー。内側はシルバーのツートンカラーになっている

操作系も含めたデザインは共通

 「ベンツやBMWのような王道……」。操作系も含めたデザインについて、寺内氏がポロッとこぼした言葉がこれだ。

 国産車が自動車の操作系をモデルチェンジごとにコロコロ変えるのに対し、欧州のメルセデス・ベンツやBMWは何年も同じインフォメーションパネルと操作系を踏襲しているのは有名な話。エアコンの操作やパワーウインドウの操作まで全く同じであるため、新型車に乗り換えても違和感がない。

 N504iSでも、ボタンの配置や操作感に関してはかたくなに従来のデザインを引き継いでいる。カメラや背面液晶など新機能を盛り込んでも、いたずらにボタンを増やさない態度はさすがだ。

 携帯電話で世界シェアトップのNokia端末でも、新機種を出してもメニュー構成を変えないのが特徴の1つ。Nokiaユーザーに選んだ理由を聞くと、必ず返ってくる答えが「操作に慣れているから」だ。

 もしかすると、NEC端末のユーザーが最も重要な部分として認識しているのは、このボタンの配置、そしてメニュー周りの構成なのかもしれない。



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[斎藤健二, ITmedia]

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