Mobile:NEWS 2002年11月29日 00:30 AM 更新

VGAザウルス「SL-C700」は、「PCのように使える」か(2/2)


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 フォルダ自動振り分けは、3つの条件を1組として自由な設定が行える。1つのフォルダにつき、条件を1組といった制限もなく、複雑な振り分けにも対応できる。また送信者、宛先を条件に設定する場合には、受信済みのメールに含まれているメールアドレスの一覧からも選択できるなど、設定の省力化も実現されている。こういった機能はPDAでは重要だろう。


フォルダ自動振り分けの最大3条件を1組で作成可能。送信や、宛先を条件とする場合、保存されているメールのメールアドレス一覧が表示され、条件に設定できる

 検索機能も強力だ。送信者、宛先、タイトル、本文から任意文字列で検索が可能。さらに指定日以降、以前という条件も併用できる。レイアウト、機能ともにPCのメーラーにかなり近く、Webブラウザととも、にかなりPCの使い勝手に近い。


検索も強力で、送信者、宛先は保存されているメールからの引用も可能。これだけの検索機能があればまず不満はないだろう

 量産試作機ということを差し引いて考えなければいけないが、動作速度に関しては少々緩慢な感もあり、メールを100通も受信すると起動に時間がかかるようになった。アカウントやフォルダの切り替えなどでもワンテンポの遅れを感じる。ここは改善が望まれる点だろう。

WORD、Excel互換のワープロとスプレッドシート

 本製品にはMicrosoft Word互換の「HancomMobileWord」、Microsoft Excel互換の「HancomMobileSheet」が搭載されている。完全なデータ互換があるわけではないが、この点ではPocket PCのPocket Word、Pocket Excelでも同じだ。少なくともデスクトップPCで作成したデータをそのまま読み込むことができる。

 ワープロ、スプレッドシートともにWord、Excelのサブセットということになるが、モバイル環境でデータを見る、修正するといった用途なら十分だろう。もちろん出張先で簡単な報告書を作成するレベルなら問題なく利用できるはずだ。


ファイルサイズが大きかったり、データの非互換性が確認されると警告メッセージが表示される。完全互換でないのは致し方ないだろう

 「ノートPCとの比較」という意味で、800×600ピクセルの画面でWord、Excelとの情報量を比較してみたが、本製品は小さくても見やすいフォントのおかげで同等の情報量が得られる。もちろん限界まで縮小表示した状態ではなく、実用性があると筆者が判断した表示サイズでだ。シャープが開発した視認性に優れる「LCフォント」の恩恵も大きい。


左が本製品、右がPCで同じWordファイルを開いたところ。このように表組みもしっかり再現される。文字の認識も十分


グラフィックスを含んだ文章もそのまま再現できる


左が本製品、右がPCで同じExcelファイルを開いたところ。文字がしっかり認識できるサイズでもこれだけの情報量が得られる。PCでの800×600ピクセル表示にはかなわないが、ちょっとした表の作成なら十分すぎる情報量


最小サイズで表示すると、さすがに実用性がなくなる。フォント自体を小さいものにするか、表全体の状態を把握するといった場合に利用することになるだろう

 スクロールバーを利用したスクロールもスムーズで、複数ページにわたる文章や大きな表もストレスなく参照できる。キーボード利用時にキー操作でページスクロールが可能だともっと便利だとは思うのだが。

完全にノートPCの代替にはならないが……

 今回はWebブラウザ、メーラー、ワープロ、スプレッドシートの4つにフォーカスを当てて機能をチェックした。VGAという画面サイズは今どきのノートPCよりは1回りも2回りも情報量は少ないのだが、アプリケーションのできのよさがこれをカバーしている。

 少なくとも従来のパームサイズPDAの粋は完全に超えており、A5ノートPCの代替程度なら十分にこなせそうだ。大量に文章を作成するのが容易とはいわないが、短い出張で、報告書や簡単な表を作成してメールで送信したりする分には問題なさそうだ。

 Webブラウズや長文メールの閲覧は、ほかのパームサイズPDAと比較すると格段に快適だ。「出先で原稿書きの予定さえなければ、VGAザウルスだけで出かけてしまいたい」──そう思わせる出来映えの製品だ。



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関連リンク
▼ SL-C700のニュースリリース
▼ SL-B500のニュースリリース

[坪山博貴, ITmedia]

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