今年こそBluetooth普及へ〜Bluetooth SIGBluetooth SIGのマーケティングディレクターが来日し、「2003年は本格導入の時期。2004年はコンシューマフェーズになる」と、Bluetooth普及の見通しについて語った
1998年の発表以来、“今年は……”と言われながら、なかなか普及の兆しが見えなかったBluetooth。しかし2003年は広く浸透し始める第一歩となるかもしれない。
「なぜBluetoothの技術が採用されるまでに時間がかかったのか、なぜ動きが鈍かったのか。実を言うと、Bluetoothの進化はほかの技術と比較すると遅いものではなかった」。と話すのは、1月21日来日したBlutooth SIGのマーケティングディレクターであるAnders Edlund氏。 Bluetoothは、複数のデバイスを無線で接続する規格。1種類のデバイスに内蔵されるだけでは使えないため、さまざまな機器に搭載されるのが普及の前提となる。「いろいろなデバイスにBluetoothが入るには時間が必要。量的なベースを確保するにも時間が必要だ」(Edlund氏)。 Edlund氏は、「2001年に開発フェイズを終了できた。2002年においては、比較的高くはあったがシリコンも提供できた。2003年は生産フェイズに入り、本格導入の時期になる。2004年には新しい面白いアプリケーションがどんどん普及していき、いろいろな消費財に一般に使われるようになる。コンシューマフェーズと位置づけている」と話す。 2003年から2004年を本格導入の時期と位置づける理由の1つは、チップ価格だ。当初、Bluetoothが普及するための価格目標は5ドルといわれていた。その目標は長く達成できていなかったが、最近になってチップ大手の英CSRが5ドル以下のチップを提供するなど、急速に価格が低下している(2002年5月の記事参照)。 「チップセットの価格も手ごろなところに下がってきている。値段は普及に大きな影響をもたらす。この価格はこれまで実現できていなかった」(Edlund氏)
Bluetoothが遅々として普及しない中、IEEE802.11bを使った無線LANが急速な広がりを見せた。「無線LANがBluetoothの市場を喰う」という意見も多く、携帯電話への無線LAN搭載を検討しているところもある。 Edlund氏は「802.11bは決してBluetoothと競合する技術ではなく補完的なもの。このような小さなデバイスに無線LANを使うことはできない」と、競合を否定する。Bluetoothは、通信速度を向上させた新規格や無線LAN的な使い方を容易にする「PANプロファイル」などを準備中だが(2002年2月の記事参照)、それでも「無線LANとは競合しない。用途が異なる」と言う。 高速化などのロードマップについては、Edlund氏は策定中と話すに留め、時期の目処などを明らかにしなかった。
Bluetoothが最も普及している地域は、やはりEricssonやNokiaのお膝元である欧州のようだ。既にSony Ericssonの「T68i」など複数の携帯電話にBluetoothが内蔵されている。「欧州が最も普及している。米国は立ち上がりは遅かったが、最近は傾向としてはいい。日本もそうなることを期待している」(Edlund氏)。 「個人的に携帯電話というデバイスが重要だと思う」とEdlund氏は言うとおり、欧州では携帯電話のヘッドセット接続用途としてBluetoothの普及が始まっている(2002年10月の記事参照)。 Edlund氏によると、最も使われるのがヘッドセット。次にPCと携帯電話をBluetoothでつなぎ、GPRSを使ってインターネットにダイヤルアップするのに使われているという。しかしインターネットへのダイヤルアップ用途はまだ少なく、「3番目のメジャーな使い方は?」と問うと、なかなか答えが出てこないのが現状だ。 国内でも携帯電話への搭載がカギを握るといわれるが(2001年11月の記事参照)、赤外線すら活用し切れていない中、Bluetoothをただ載せただけでは用途がない可能性もある。 とはいえ、苦難の道を乗り越え、Bluetoothはやっと普及の徒についた。Bluetooth SIGもコンシューマに目を向け始め、「5-Minute Ready」プランを推進し始めている(2002年12月の記事参照)。「消費者系の試みとしては、まずWebサイトを立ち上げた。いち早く製品を利用する、アーリーアダプターが対象になると思う」(Edlund氏)。
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