つながった! J-フォン3GとFOMAのTV電話。しかし……本サービスが始まったとはいえ、エリアも端末の出来もまだ“試験サービス品質”に近い、J-フォンの3G、「Vodafone Global Standard」。NEC製のテレビ電話端末「V-N701」を購入して試してみた
発売初日より品薄状態だったJ-フォンの3Gサービス「Vodafone Global Standard」(VGS)の端末「V-N701」。筆者は昨年末に大宮まで出かけてなんとか端末の入手に成功した。端末の大きさ、エリアの広さ、バッテリーの持ち時間など、多くの不安を抱えながらの購入だったが、いずれも「思ったとおり」の出来の悪さというところ。思った以上でないのが救いである。 せっかく買ったV-N701を使いこなせるようにしようと、西新宿付近の建物の中でいろいろ試してみるが、これがすべて圏外となってしまう。渋谷に場所を移動し、宮下公園から児童会館前に向けて、屋外で試してみても意外に電波の届かないところが多い。あるいは電波は届いているらしいのに、通話ができない。FOMAの出始めのころもアンテナバー表示があまり信用できなかったが、V-N701はそれ以上かもしれない。 機能面で一番不自由を感じたのが、これまでのNEC端末とメニュー体系が大きく異なる点。説明書がなければ着メロの変更場所すら分からない有様だ。また、通常の端末にあるような「マナーモード」のボタンが用意されていない。いや、実際には「*」の長押しで電話モード(ノーマル/ミーティング/ポケット/カー)を切り替えられるのだが、本体にもボタンにも説明の印字がないのである。日本の携帯電話が持っていた素晴らしさを、何かと引き換えに捨ててしまったのだろうか。
V-N701では、テレビ電話機能を「TVコール」と呼ぶ。FOMAのテレビ電話と同様、64kbpsの回線交換モードで接続される。 だが、JフォンではTVコールの仕様を明らかにしていない。「FOMAとの間でテレビ電話ができますか?」とJフォンショップで聞いてみても、「できるらしい」という返事しか返ってこない。FOMAはずいぶん前に出ているのだから、既にやってみたのなら「できました」、検証できていないのなら「できるはず」くらいのことを大々的に言ってもらわないと、この端末を選ぶ意味がなくなると思うのだが。 本題に入ろう。V-N701と松下製の「FOMA P2101V」の間でテレビ電話機能を使ってみた。もうお分かりの通り、両者の間できちんと接続でき、お互いの顔を見ながら通話ができた。電波の関係なのだろうか、電話をかけると相手につながる直前に突然切断処理に入ってしまうなど、不可解な動きも見られたが、とにかくちゃんと使える。 これで、VGSはFOMAと同じスタートラインに立ったのかといえば、それはとんでもない誤解だ。主な機能としてテレビ電話を使いたいのなら、現時点では2台ともFOMAにすることをお勧めする。 ではV-N701の何がダメなのか。カメラがあるのに静止画が撮れないとか、Eメールが使えないとかは、この際どうでもいい。テレビ電話で何をするのか、まるで分かっていないような絵の出し方に問題がある。
FOMAでは相手の顔も見え、自分の顔も確認できる。自分と相手の表示位置を入れ替えたり、自分の顔を消したりと、自由度が高い
両者の画面を並べてみた。FOMAの自画面枠は縦11ミリ×横13ミリ、一方のVGSは縦24ミリ×横19ミリ
実はV-N701にはスピーカフォン機能がないため、TVコールの通話時にはイヤホンマイクの装着が必須となる。自分からかけるときはまだいいが、相手からテレビ電話がかかってきたら、かなりあわてることになりそうだ。 テレビ電話機能との直接の関係はないが、V-N701には専用の充電台がない。今はACアダプタだけで充電させることも珍しくなくなってきたが、それでも充電台は必要があれば購入できる。ところが、この端末はACアダプタ専用なのだ。充電台のメリットは、通話しながらでも立てておくだけで充電できること。テレビ電話機能を使えばどんどんバッテリーを消費するのに、こうしたオプションを用意しなかったのはよほどコスト的に厳しかったのだろうか。 充電台といえばP2101Vの充電台にはちょっとした工夫がされている。三脚をセットするためのねじ穴が切られているのだ。「カメラ携帯ごときで三脚?」という声もあるだろうが、長時間に渡ってテレビ電話をする場合や、定点観測で遠隔地から映像を時々チェックしたいなどのニーズに応えられる。P2101Vの開発陣は、テレビ電話の利用シーンが分かっているのだろう。
P2101Vの充電台。けっこう用途に気づかない人も多いのではないだろうか
三脚にP2101Vをセットしたところ。ACアダプタも接続しておけばバッテリー切れの心配もない
これまでに述べたように、V-N701のテレビ電話機能には合格点をあげられない。しかし、この端末はGSMでも使えるデュアルモードが売りでもある。NECとしては初のテレビ電話だし、おまけ機能としてとらえれば、これでもいいのかもしれない。だが、今から1年半前にこんな記事があったのを覚えているだろうか。
NECは松下の良いところを吸収できる立場にいたばかりか、ソフトウェアの共通化も可能だったはずだ。それが十分に生かされなかったのは、いったいどうしたことなのだろう。“準備がまだ整っていない、それぞれ組織が違う、これ以降の端末に生かされる……”。どれもありそうな理由だ。だが国内トップ2社が協力して作った端末が本当にこれだったとしたら、今後の3G端末の行く末が怪しくなってきそうだ。
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