Mobile:NEWS 2003年2月14日 02:07 PM 更新

メガピクセル、QVGA、メモリカードは三種の神器

春から夏にかけて登場する新機種の目玉は、メガピクセル──100万画素以上のカメラの搭載となりそうだ。併せて、QVGA液晶の搭載やメモリカードへの対応もほぼ必須になってくる

 今年の携帯電話の進化の目玉が見えてきた。100万画素以上のカメラ、320×240ピクセルのディスプレイ、外部メモリカードスロット──。この3つが、ハイエンド端末の標準的装備になっていく。

メガピクセル携帯がやってくる

 先行したJ-フォンに続き、au、ドコモもカメラ付き携帯電話を発売したのが昨年。1年経たずして、カメラ付き携帯電話は1500万台を突破し、既に携帯全体の20%を占めている。

キャリアブランド名端末台数
J-フォン写メール約800万台
ドコモiショット500万台
KDDIムービーメール250万台

 中でも大きな意味合いを持つのがメガピクセル端末の登場だ(2月10日の記事参照)。編集部の記者に聞いても、「100万画素あれば、仕事の写真に使えるかもしれない」と興味津々。携帯がデジタルカメラと勝負できる土俵に上がってくる。

 カメラ映像機器工業会が発表した出荷実績によると、デジカメの年間出荷台数は3145万台(2003年予測、1月27日の記事参照)。対する携帯電話は年間約4000万台を出荷しており(2月13日の記事参照)、ツーカーグループを除く3社は、主力機はすべてカメラ付き。新規で発売される端末の多くがカメラ付きになると予想される。

 確かに性能で比較すると、プラスティックレンズでオートフォーカスも光学ズームもない携帯内蔵カメラは、いくら画素数が上がってもデジカメにかなうものではない。しかし100グラム程度という軽さと、キャリアのインセンティブに支えられた価格の安さ、そして“電話・メール機能付き”である携帯は、普及価格帯のデジカメの大きなライバルになりそうだ。

 通信キャリア幹部も、「廉価版のカメラが携帯に駆逐されてしまう可能もないとはいえない」(KDDIのau技術本部長の橘薫常務)とするなど(2月7日の記事参照)、携帯の新しい可能性が広がってくる。

メガピクセルとセットで力を発揮する、QVGA&メモリカード

 メガピクセルとセットで普及が見込まれるのが、QVGA液晶とメモリカードだ。

 PCと異なり表示デバイスが2インチ程度の携帯電話では、メガピクセルの情報量を表示しきれない。現在主流の144×176ピクセルのディスプレイの場合、11万画素カメラの画像でも縮小しないと表示できず、カメラの高性能化を生かすにはディスプレイの進化も必要不可欠だ(2002年11月の記事参照)。

 QVGA液晶は、文字表示主体の場合、表示文字数が増す、フォントが滑らかに表示される程度の意味しかないが、画像や写真となるとクオリティに大きな差が出てくる。まさに“カメラが液晶の進化を引っ張る”とも言えるだろう。

 合わせて、メモリカードスロットの搭載も必須要件となる。メガピクセルカメラで撮影した画像は、1枚当たり200K-500Kバイト程度の容量になる。現在、最大の内蔵メモリ容量を持つ端末でも40枚程度しか保存できない。

 またこれだけのサイズのデータになると、メールに添付して送受信することも不可能だ。既にJ-フォン端末などでは別売りのケーブルを使ってPCにデータを移せるようにしているが、簡便とは言えないのが実情。デジカメ代わりに携帯を使うには“メガピクセルとメモリカードはセット”ともいえる。

端末は進化しても……

 もっとも、メガピクセル、QVGA、メモリカードの搭載は、通信キャリアのビジネスにとっては微妙な位置づけともいえるかもしれない。

 通信キャリア各社の収入源は、通話料/データ通信収入が主体。端末の販売は収益を上げるどころか、1台当たり4万円にも上る多額のインセンティブ(販売コミッション)が大きな費用となっている(2月6日の記事参照)。

 つまり新機能は通話料増大、データ通信料増大に結びつかなければならない。端末に新機能を盛り込んだ場合、“それがARPUの向上に結びついたかどうか”で評価されることからも、それが分かる。例えばiアプリの導入によって、利用パケット数が倍になったとドコモは話している。

 では、メガピクセル、QVGA、メモリカードはどうか。データ通信が必須となるJavaに比べると、収益の増大に結びつけるのは少々難しい。機能が向上しPCに近づくにつれて、通信を行わなくても利用できるシーンが増えていくからだ。

 例えばメモリカード付きのメガピクセル端末ならば、解約してしまってもカメラとして利用できてしまう。音楽再生機能付き端末も同様だ。

 もしかすると、端末の機能向上をARPU増加以外の収益に生かす道──例えば、キオスク端末でのプリントサービスなどのほうが、市場としては魅力的かもしれない。お隣、韓国では、携帯に電子マネー/クレジットカード機能を組み込むと共に通信キャリアがカード発行ビジネスを手がけ、通信収入以外の収益の道を探っていくと聞く。

 携帯に新機能を入れてインセンティブを付けて販売しても、ARPUの減少をくい止めるのはなかなか難しい。そろそろ新しいモデルが登場してきてもおかしくない。

※もちろん、端末機能の強化がARPU向上に結びつく可能性もある。例えば、カメラの魅力が増すことで撮影頻度が増加。画像関係の通信が増えることでARPUが増加することは251iシリーズのデータからも分かっている。QVGA液晶の搭載と共に、Web1ページあたりの最大受信容量を増やせば、データ通信量も増える。この春の端末あたりから、着信メロディも64和音化が予想されるが、ダウンロードできるファイルサイズの緩和も考えられる



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[斎藤健二, ITmedia]

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