Mobile:NEWS 2003年5月19日 05:59 PM 更新

KDDI、地上デジタル放送向け携帯端末を開発

携帯電話で地上デジタル放送を見る──。それを最終ターゲットに、KDDIは通信と連携できる携帯端末を開発した

 KDDIは5月19日、KDDI研究所と共同で地上デジタル放送に向けた携帯端末を開発したと発表した。映像・音声の放送と、通信を連携させたサービスの検証が目的。公開したのは試作機であり、実機の発売や時期などは不明だが、「携帯電話に入れ込むことが最終的なターゲットだ」(KDDI技術開発本部ITS開発部の中村博行部長)と言う。


開発された「TV Mobile」。地上デジタル放送受信用のアンテナやチューナーは含んでおらず、無線LANによって映像を擬似的に受信する。通信はAirH"を用い、KDDI研究所に設置したサーバとデータをやり取りした。
映像・音声のデコードやコンテンツブラウザなどは、SH4を使ったT-Engine上でTRONをOSとして動作する。CPUクロックは200MHz相当。MPEG-4を使った映像はQCIFサイズで表示される。「TRON OSに、映像、音声、データをすべて連携させて表示させる。いろいろなタスクが発生するので、それをどう管理するかが大変だった」。今回の端末はT-Engineボードをそのまま使ったため、重さは600グラム程度。ただし技術自体は携帯電話への組み込みをターゲットとしているという

映像を見ながら、通信で詳細を取得

 地上デジタル放送は、今年の12月に東名阪で開始される予定の放送サービス(2002年12月の記事参照)。映像、音声、データがデジタルで送信され、携帯機器での受信も可能になっている。

 KDDIの試作端末「TV Mobile」は、地上デジタル放送を受信し、番組を見ている最中に、通信で接続して番組と連携した情報を取得できる。

 同社はNHK放送技術研究所と共同で、通信と連携する放送番組を制作。映像を見ながら通信で詳細情報を取得できるコンテンツや、映像閲覧中に通信でトリガーを送り、地震や津波などの情報を提供する緊急放送的なコンテンツ、スポーツを見ながらチャットができるものなど4コンテンツが既に用意されている。

 「松井のホームラン、などのキーワードをあらかじめ設定しておいて、(地上デジタル放送の映像が)その場面になったときに、携帯電話の待ち受け画面から切り替わるよう、通信で促すことができる」(中村氏)。


コンテンツの例。左はNHKのドラマ「武蔵」が流れている。映像の下にはBML(Broadcast Markup Language)で送られてきたデータがブラウザに表示されている(実放送ではBML。今回の試験機ではHTML)。より詳細な情報を見たい場合は、サーバに通信で接続して取得することができる。中央は英会話の教育番組。右はサッカー中継を見ながら、チャットを行うというコンテンツだ

地上デジタル放送にとっても携帯電話は重要

 通信事業者であるKDDIは、地上デジタル放送で携帯電話の更なる機能アップを狙う。「地上デジタル放送の移動体受信は非常に大きなインパクトがある。うまく携帯に取り込んで市場を伸ばすことができれば、大きなメリットだ。また、地上デジタル放送を普及させるためにも携帯電話での対応は重要」(KDDI研究所の松本修一取締役)。

 課題となるのは、ハードウェアではなくビジネスモデルのほうだ。「携帯に地上デジタル放送受像機を組み込んだら、通信の需要が本当に伸びるのか?」と松本氏は話す。今回の試作機も、実機でコンテンツのマーケットをテストするためのものだ。

 もう1つの問題は、移動体向け地上デジタル放送の規格が決まり切っていないこと。動画コーデックも「MPEG-4とH264の2種類が候補となっているが、(今回の試作機は)ソフト処理なのでどちらでもいける」(中村氏)。

 さらに地上デジタル放送のデータ放送に使われるのが、放送用のマークアップランゲージであるBMLなのも問題の1つ。KDDIのEZwebなど携帯電話のデータ通信ではHTMLベースが主流だからだ。連携コンテンツをBMLで作るとなると制作が制限されるが、デュアルブラウザを搭載するのも大変だ。松本氏は「最終的にはBMLだが、今回はコンテンツの検証ということでHTMLを使った」と説明する。

 そして通信と放送の連携に対しては、快い顔をしない放送事業者もいるようだ。1画面に放送画面とネットの画面を両方出すことに難色を示しているという。このあたりの議論はまだ決着がついていないが、「それをやっていると進まない。議論を避けて、まずは動くものを作った」(中村氏)。

 試作機での成果を踏まえて、まずは仕様が固まるのを待つ。今後は、この秋にスタートするCDMA2000 1x EV-DOの利用も意識し、GPSと連携させたコンテンツを検討していくという。



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▼ KDDI
▼ KDDI研究所

[斎藤健二, ITmedia]

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