Mobile:NEWS 2003年10月16日 06:11 AM 更新

今度のGPSは一味違う〜au「EZナビウォーク」を試す(2/2)


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地図が自動スクロール。現在位置を常に表示

 これまでのGPSケータイと最も違うのは、“常に自分のいる位置が、地図の中央に表示される”ことだ。最初の1回は、10秒程度、測位に時間がかかるが(これは従来のGPSケータイと同じ)、その後は通信せずに携帯がGPSから直接電波を受信して位置を測位する。

測位方式概要
MS-Assistedネットワーク支援型。通信を使い最終計算はサーバで行う
MS-Basedネットワーク支援型。サーバからのアシストデータは利用するが、最終計算は端末で行う
Autonomous自立型。すべての計算を端末で行う
通信可能なGPS端末が取りうる、測位方式。これまでのGPSケータイが「MS-Assisted」にあたり、カーナビのようなシステムが「Autonomous」だ。MS-Basedは、ちょうど中間のシステムとなる

 この機能は、ルート案内時はもちろん、現在位置の地図表示時も動作する。地図を表示して歩き回れば、常に自分のいる場所が中央に表示される。

 タイミングは10秒に一度といったところ。もう少し頻繁に測位を行っているのかもしれないが、軌跡表示はそのくらいの時間間隔で更新される。


単に「現在地マップ」を表示させて歩き回ってみた。自分のいる場所に合わせて地図がスクロールしてくれる。これまで歩いた場所は、青い点で軌跡として残る

 ルート案内も凝った部分だ。曲がり角が近づくと、まずバイブレータが震え、その後、音声で「230メートル先、右方向」などと案内してくれる。いったん案内を始めれば、閉じていても動作はしているので、ブルッと震えてから画面をチェックすればいい。地図を見ながら歩いて、電柱にぶつからないように注意しよう。


これがEZナビウォークの最大のウリである、音声ガイド付き道案内。地図データに合わせて位置の補正も行っているので、かなり正確に自分の位置を表示してくれる。ただしもう少し、GPS測位の頻度が高ければ……と思うシーンもあった

BREWとMS-Basedのスピードは快適

 EZナビウォークが、これまでのGPSケータイと大きく異なるのはスピード面。BREWアプリケーションとして内蔵されたナビタイム製の地図ビューワは、非常に高速に起動し、地図のスクロールや拡大縮小もスムーズだ。

 BREW+GPSの端末は、これまで「C3003P」「A5304T」「A5306ST」だけだった。A5500シリーズでは、全機種QVGA液晶を搭載することで精細な地図表示が可能となり、さらにCPUにMSM6100(10月6日の記事参照)を使うことで更なる高速描画が可能になっている。地図の閲覧だけ見ても、これまでとは速度感が違う。

 カーナビでもそうだが、文字を打って検索するよりも、地図をスクロールさせて目的地を決めるほうが早い──という場合は多々ある。(その都度ベクタ地図をダウンロードするので、多少の通信費はかかるが)EZナビウォークならば、目的地まで地図をスクロールさせるのだって、それほどストレスはない。

しかし、困った点もいくつか

 EZナビウォークは、かなり魅力的なサービスだが、いくつか苦言もある。

 まず、単独測位時はGPS衛星をしっかり捕捉できる場所で使う必要がありそうなことだ。カーナビやポータブルタイプのGPS機器を考えてみれば分かるが、基本的に屋内など、GPS衛星が見えない場所での位置測位は難しい。A5500シリーズは、携帯電話とはいえ、かなりの受信感度を持つが、通信を使わない単独測位は屋内では失敗することが多かった。試したのは試作機であり、本サービスもこれからだから、改善される可能性もあるが、理屈からいっても、屋内での単独測位は厳しい可能性が高い。

「屋内での単独測位」について、少々補足したい。auのGPSケータイは、GPS衛星が完全に見えない場所でも基地局情報を利用することで位置測位を可能にしている。つまり、かなり奥まった室内でも測位に失敗することはほとんどない。今回のMS-Basedでも、通信を使う最初の1回目の測位については屋内でもしっかりと成功する。ただし、2回目以降の単独測位はGPS衛星がしっかりと見える必要がありそうだ。これまでのGPSケータイに慣れたユーザーは、この点に注意がいる

 また欲をいわせてもらえば、地磁気センサーと共に、ドコモの「らくらくホンIII」に搭載されたような歩数計も内蔵してほしい。GPS感度の悪い場所では、立ち止まっていても現在位置がばらけてしまう場合があったからだ。

 もうひとつ、あくまでこれは“徒歩ナビ”であって、自動車など高速移動中に使うのは難しそうだということ。現在位置を取得し、ルート案内を始めてしまえばなんとか動作するが、移動中に改めて測位を行うのは厳しい場合があった。

 そして最大の問題は、この冬のau端末の中で、どの端末を選べばいいか本当に迷うことだ。インパクトのあるデザインを持つ「INFOBAR」や、200万画素カメラを搭載した「A5403CA」、サイバーなイメージでバランスの取れた「A5404S」にはEZナビウォークが載っていない。地磁気センサーを備えた「A5502K」は、ますますEZナビウォークの使い勝手が良さそうだが、FMラジオを備えた「A5503SA」も捨てがたい。最初に発売される「A5501T」が機能バランスの面でも魅力だ。

 この冬のau端末選びは、難しい選択になりそうだ。



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関連リンク
▼ ナビタイム
▼ KDDI

[斎藤健二, ITmedia]

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