Mobile:NEWS 2003年10月28日 05:24 PM 更新

とりあえず登録?〜“日額プラン”で再出発するMzone

ドコモが公衆無線LANサービス「Mzone」にテコ入れを図る。28日から、これまでの月額2000円のサービスに加え、500円で24時間利用できる「日額プラン」を用意した。エリア拡大と共に利便性向上を図り、“再出発”する。

 当初「携帯を駆逐する?」とまで騒がれた公衆無線LANサービスだが、予想通りには市場は拡大しなかった。MSIが公衆無線LANサービスを休止したり(2002年12月の記事参照)、試験サービス中のYahoo! BBモバイルも商用化の時期が見えない(2002年6月の記事参照)。

 昨年7月から有料化に踏み切ったドコモの公衆無線LANサービス「Mzone」も(2002年6月の記事参照)、苦しい状況が続いた。クロスメディアビジネス部W-LAN担当部長の長谷川卓氏は、「厳しいビジネスだな、と気がついてはいた。エリア拡大のブレーキを踏んだ部分もあった」と、当時の状況を振りかえる。

 しかし、今年10月に入ってMzoneは積極的な展開を始める。「内部でも議論を重ねて、新しい利用法を用意してきた。これからが本当の再出発。新しいMzoneとしてエリアを全国に広げ、ローミングを活発にやって使いやすいものにしていきたい」と長谷川氏は話す。

「取りあえず申し込み」が可能な日額プラン

 料金は、従来の月額2000円に加えて、日額500円のプランが用意された。月額課金は高いと感じるユーザーに対して、少額課金プランの必要性は従来から言われていた点。長谷川氏は「契約者のほとんどが日額になると想定している」と、新プランに期待を示す。

 この500円プラン、なかなか使い勝手が良さそうだ。従来もNTTコム「HOTSPOT」のプリペイドカードなど、1日あたり500円前後で公衆無線LANを提供するサービスはあった(2002年12月の記事参照)。しかしHOTSPOTのプリペイドカードの場合、店舗でカードを購入し、カードに記入されているID、パスワードをその都度入力しなくてはいけないなどの手間がかかる(ISP経由ならば利用ごとの課金も可能)。

 Mzoneでは、事前に申し込みをしておけば、利用したときだけ課金が行われ、月額料金は必要ない。逆にいえば、特に使う予定がなくても、申し込みだけしておいて損はない。

 使うかどうか分からないのに月額数千円を払うのは躊躇するが、必要な時は1000円でも使いたいのが公衆無線LANだ。“使ったときだけ500円”の日額プランは、利便性を大きく向上させる。

期待される、携帯との連携

 日額プラン導入と共に、エリアも急速に拡大する。ホテルや空港に強いのはMzoneの特徴だが、都内のドコモショップでも利用できるのは、見逃されていたポイントだ。

 「ビジネス中心地区で、ファーストフードチェーンを探しても見つからない」と、長谷川氏は飲食店チェーンを中心にエリアを拡大する他社を揶揄。Mzoneでは、ビジネス街の一等地に必ずあるドコモショップを、同社ならではの資源として活用する。ドコモショップ全店舗への導入はまだだが、「いま26店舗は(Mzone用の)机とイス、電源も用意している」(長谷川氏)。

 ただし、公衆無線LANサービスは事業者間の差異性が打ち出しにくい。各社の相互ローミングが進む中、長谷川氏も「少なくともNTTグループではローミングを考えていかなくてはならない」と言う。しかし、「エリアは差別化の最も重要なところ。(ローミングによってエリアが)同じになると、価格競争になる」のも事実だ。

 携帯電話事業者としてのドコモが行うMzoneだけに、ユーザーが最も期待するのは携帯との連携になるだろう。日本テレコムはボーダフォン(当時J-フォン)の携帯電話から、公衆無線LANのIDとパスワードを発行する試験サービスを始めており(4月16日の記事参照)、ドコモでも同様のサービスが期待される。

 「来年春をめどに、請求の携帯電話との合算、iモード上から申し込んですぐに使えるようにしたい。携帯から即時使えるような環境を作っていきたいと思っており、支払いの利便性も高めていきたい」(長谷川氏)

 またPHSやFOMA、無線LANといった環境を意識せずに済むサービス、「例えば、添付ファイルが使えるmoperaメールを、無線LANからも同じユーザビリティで使える環境はぜひ実現していきたいと思っている」。

 公衆無線LANサービスでも、積極的なところと様子見のところに次第に分かれてきた。進展のなかったMzoneだが、来年に向けての施策は、実現すれば有望だ。

 「日額プランも用意したので、早く100万アクセスを達成したい」(長谷川氏)



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関連リンク
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[斎藤健二, ITmedia]

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