リビング+:コラム 2003/04/16 23:59:00 更新


どうなるホットスポット 〜成功のカギは少額課金?

いまひとつ盛り上がりに欠ける(と、個人的に思う)公衆無線LANサービス。そんな中、日本テレコムの実験サービスで、興味深い取り組みが始まったようだが……

 公衆無線LANサービスを取り巻く環境は、個人的にはやや、盛り上がりに欠けるように思われる。昨年の一時期は、「オマエもか!」とツッコミを入れたくなるほど、多くの事業者が同事業に参入したものだ(この記事の、一番下にある“関連記事”を見てもらえば分かると思う)。しかしその割には、成功例が聞こえてこないようだ。

 たとえば昨年末には、MISが公衆無線LANサービス休止を決めてしまった(記事参照)。また、ISPに取材をしても「IP電話はユーザーメリットが大きいが……。実際のところ、公衆無線LANにはあまり興味ないんです」といった話が聞かれたりする。

 「TEPCO de am/pm」などで公衆無線LANサービスを展開していたスピードネットでは、馬場博幸副社長自ら、その事業性に「かなり、冷静な視点を持っている」(記事参照)と話している。要するに、成功するかどうか、冷静に見守らなくてはいけない、ということだった。

 そんな中で、今日、JR東日本と提携して無線LAN実験サービスを行う日本テレコムが、興味深い報道発表を行った。「携帯電話から無線LANの1DAYパスを発行する」というのだ(詳細はMobileの記事に譲る)。この意味するところについて、これまでを振り返りながら考えてみたい。

やっぱ1DAYパスでしょ

 公衆無線LANサービスが大ブレイクしない理由のひとつに、同事業がしばしば月額課金で提供されてきたことが挙げられる。各事業者が提示する料金は、概ね月額1000円〜2000円。「1カ月にどれくらい使えば元がとれるかな……?」と、思わず計算してしまう状況だった。

 しかし、これではユーザーの支持が得られないとする意見もあり、より短期間のプランを提供する事業者も出てきた。たとえば理経は「1日利用・500円」から購入できるプリペイド式の公衆無線LANサービスを打ち出した(記事参照)。また、最大手の1つであるNTTコミュニケーションズも、1日500円のプランを追加している(記事参照)。“必要なときに、ちょっと使う”という利用形態が、実現しつつあるわけだ。

 そして、本日の日本テレコムの発表につながる。これは要するに、携帯電話から特定のサイトにアクセスし、公衆無線LAN用のIDとパスワードを取得するというもの。同サービスはまだ実験段階につき、無料。そのため、まさに「ふと思いついて→携帯を操作して→JR駅から無線にアクセス」という流れが実現する。

 このシステムの優れているところは、将来、有料化したあかつきには、携帯キャリアの少額課金インフラを利用できるところ。先ほど述べてきた、“1日数百円”というサービスと、相性がよさそうだ。ついでにいうと、外出先でも必ず持ち歩いているであろう、携帯電話に目をつけたところもポイントが高い。

担当者の手ごたえは?

 日本テレコムは、この公衆無線LAN実験サービスを、おととしから始めている(記事参照)。その後、対応駅を増やしたり、参加ISPを増やしたりしていたが、2002年11月にいったん休止した。

 しかし、今年2月から新たに新規モニターを募集開始(記事参照)。今年12月19日までは、実験を続ける予定でいる。

 日本テレコムの茨木敏課長は、サービス休止中にはユーザーから、「いつ再開するのかという問い合わせや、こんなビジネスモデルなら成立するんじゃないかという、あたたかいご提案をいただいた」と話す。再開後はアクセスも増え、「1日に利用するユーザー数が、100人を下回ることはない」。それなりの手ごたえを感じているようだ。

 もっとも、この規模で満足できるのか、また今後事業化できるのかは、気になるところ。茨木氏は、「家庭のワイヤレス化が進んでいるし、職場も無線環境になりつつある。その中間地点もワイヤレスの可能性はあるんじゃないか」と強気だが……、そもそも一般ユーザーがノートPCを持ち歩いて、サービスを利用するのか? という問いに、「もちろん!」と答えられる人間は少ないだろう。

 とはいえ、携帯で無線LAN、なかなかのアイデアだと思う。通信業界を盛り上げる意味からも、個人的にぜひ応援したいサービスだ。

 ところで、気になるのは事業化されたときの価格設定だ。この点を茨木氏に聞くと「たとえば200円だと、事業として成り立たない……」と苦しそうな表情。じゃあ、やっぱりもう少し高いんだろうか?

 「しかし、1日500円は出したくないですね、私は」(笑)

関連記事
▼携帯サイトで即、無線LANアクセス〜日本テレコム
▼JR東の無線LAN実験が再開。今春にはNTT系事業者とのローミングも
▼MIS が「Genuine」商用サービスを発表,月額2400円
▼NTTコム,月額1600円で“ホットスポット”を展開
▼「Yahoo! BBモバイル」発表――全国にホットスポット展開,月額2280円
▼NTT東が「Mフレッツ」発表、6月から試験サービス
▼NTT-MEもホットスポット ポイントは「オープン型」
▼スピードネットもam/pmで公衆無線LAN実験
▼NTTドコモ、公衆無線LANサービス「Mzone」を7月開始

[杉浦正武,ITmedia]



モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!