Mobile:NEWS 2003年12月22日 03:50 PM 更新

FOMA「900i」を買うべきか(2/2)


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 KDDIはこの冬発表した5機種から、メールの文字に色を付けたり背景色を変えられる「パステルメール」機能を標準搭載(10月6日の記事参照)。しかし、画像を自由に入れ込むことはできず、PCとの送受信も行えない。

 900iのデコメールは、HTMLメールとなるためPCとのやり取りも可能。メールマガジンなどでも使えるため、応用範囲が広い。ただし、900i単体で使うには操作性の改善も必要だろう。文字をデコレーションする操作は、発表会場の端末に触れた限りでは簡単とはいい難かった。

 「着モーション」は、iモード版の「着うた」を含む配信サービス。現在のところ最大容量が300Kバイトと大きな以外は、とりわけ“900iならでは”の部分はなく、ドコモもau並になったといっていいだろう。KDDIに続き、ボーダフォン(11月13日の記事参照)、ドコモも採用を決めたことで、携帯業界に完全に根付くことになる。

※iモード企画部長の夏野剛氏も発表会中に指摘したように、「着うた」はソニー・ミュージックエンタテインメントの商標であり、KDDI以外も着うたの名称を使っている。敢えて「着うた」ではなくオリジナルの名称を押し出したのはドコモならではのプライドだろうか

 さて「着うた」は、技術的にいえば各社が3Gでサービスしている動画配信サービスから映像部分を取り、着信時に着メロの代わりに再生できるようにしたものだ。KDDIならばEZムービーの映像なし版、ドコモならばiモーションの映像なし版というわけだ。

 いわゆる動画配信用のフォーマットを使っているわけで、通信速度が高速な3Gの特徴を最も生かしたサービスだといえる。少なくとも100Kバイトはある着うたファイルをダウンロードするには、最大でも28.8Kbpsの2Gでは荷が重いからだ。

 新サービスの中でも、ファイル容量が500Kバイトに拡大したiアプリは、900iの最大のアピールポイントだ。もともとiアプリゲームユーザーはパケット料金の安いFOMAへの移行が早かったが、900iではその流れがさらに加速することになる。

※iアプリの最大容量は、通信速度と料金、端末性能の兼ね合いによって決まることなので、とりわけ“大きいことがすごい”わけではない。そもそも最初のiアプリ端末503iシリーズ登場時、最大容量が他社に比べて少なかったドコモは「携帯Javaの本質は容量じゃない」と訴えていた(2001年6月の記事参照)。それが900iでは容量をウリにしているのだから、時代は変わるものだ

 携帯アプリケーション市場は、技術的な優位性よりも、どうやってコンテンツ開発者を取り込むかに重要度が移っている。900i向けとして発表された各ゲームを見ると、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」(9月25日の記事参照)はもちろん、家庭用ゲーム機の名作がきら星のごとく並ぶ(12月18日の記事参照)。これだけのコンテンツを端末発表時から揃えられるのは、まさにiモードならでは。

※有料コンテンツの上限課金料金が、従来の300円から500円に上がり、コンテンツプロバイダにとっても救い。KDDIやボーダフォンが、都度課金(月額ではなくダウンロードごとの課金)も積極的に取り入れているのに対し(8月28日の記事参照)、300円上限の月額課金にこだわってきたドコモにとって、これは大きな変化

端末の機能がキードライバーに

 発表された5機種は、いずれもドコモが誇る端末メーカーが資金援助を受けながら開発したもの(4月23日の記事参照12月19日の記事参照)。カメラや操作性といった部分で、505iを凌ぐ性能を持っている(12月18日の記事参照)。

端末重さ厚み
D900i124グラム27ミリ
F900i120グラム26ミリ
N900i115グラム26ミリ
P900i130グラム24ミリ
SH900i130グラム25ミリ
D505iS113グラム26ミリ
P505iS123グラム25ミリ
N505iS117グラム25ミリ
SH505iS123グラム24ミリ
SO505iS133グラム25ミリ
900iシリーズは505iSシリーズに比べても、重くなっていないし、厚くもなっていない

 900iに込められたメッセージは、“これからドコモ端末の最新機能はFOMAに載っていく”ということだ。FOMAが伸び悩んだもう一つの理由として、50xシリーズよりもカメラや液晶などのスペックが見劣りすることが挙げられていた。今後は、端末機能でも900iシリーズがトレンドリーダーとなる。

 つまり、最新機能の端末を望むユーザーは、900iシリーズ、そしてその後継機を買わざるを得ない──ということだ。「506iシリーズ」の開発も進んでいるが(12月4日の記事参照)、夏野氏が「(900iは)505i、506iよりも遥かに上をいくスペック」というように(9月25日の記事参照)、こちらはメインストリームではない。

 ボーダフォンが公開したデータだが、ユーザーが何を重視して携帯電話を選んでいるのかというと、1)料金 2)通話品質 3)端末 の三つが挙がってくる(9月30日の記事参照)。通話品質は、PDC方式の50xシリーズよりも900iは確実に上だ。料金面でも900iは50xを凌ぐ。そして5メーカーから最新端末がそろったことで、FOMA普及のレールは敷かれたことになる。

※“900iのレールが敷かれた”というよりも、“505iSを脱線させた”という穿った見方もある。505iSシリーズ発売直後に2カ月先の900iを発表した点、505iSシリーズの販売目標数が思いのほか少ない点などが理由だ。機種によっては300万台近く売れるNECの最新端末「N505iS」の累計販売目標数を90万台と見積もっているわけだから、iSシリーズの冷遇が見て取れる(12月9日の記事参照)。関係者によると「来年はFOMAしか売らない」という話さえあったという

 サービスエリアの面でのみ、未だ不安の残る900iだが、料金や通話品質、そして端末は、確実に50xシリーズを凌いだといえそうだ。

 自分の生活範囲でのエリアが確認できれば、携帯最新機能を堪能したいユーザーにとって、50xシリーズからの乗り換えは素直な流れ。そして、auやボーダフォンに乗り換えを検討していたユーザーにとっても、900iは魅力的な選択肢となるだろう。

900iのデザインは“イケてる”?

 900iのデザインは? というと、賛否両論分かれる部分だろう。“イケてるデザイン”を目指したと伝えられていただけに(11月17日の記事参照)、満足した人と期待はずれだった人に分かれそうだ。INFOBARのように、今ひとつ飛び抜けたデザインにならなかった理由には“目指す市場規模”の違いがありそうだ。端末販売台数が平均して40万台程度といわれるauではINFOBARは100万台超えの販売台数は狙っていない。対して、NECやパナソニックのドコモ端末では100万台を超えるのは当たり前だ。「200万人、300万人に使ってもらえる携帯のデザインは、単に奇抜なデザインではなく、微妙なバランスが重要」という、iモード企画部長夏野剛氏の言葉からは、auとは違った視点で“イケてる”デザインを指向したことが伺える



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関連リンク
▼ ドコモ 900i
▼ ドコモ ニュースリリース

[斎藤健二, ITmedia]

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