中国人にとっての携帯とは?:中国のケータイ事情(1)(2/2 ページ)
中国のケータイ事情はあまりよく知られていない。しかしその実態を調べると、中国人とケータイは日本人以上に(?)切っても切れない存在なのだ。
中国キャリア事情
中国携帯事情を知る第一歩となる、中国キャリアの現状についても触れよう。中国では携帯電話のキャリアとして、中国移動(China Mobile)、中国聯通(China Unicom)の2社があり、それに中国版PHSの「小霊通」を展開する中国電信(China Telecom)と中国網通(CNC)がある。数値を見ると、中国移動の契約者数は2億1060万、一方中国聯通の契約者数は1億1490万で、中国移動が優勢。新規加入者数も中国移動のほうが中国聯通よりも勢いがある。PHSの契約者数は8000万。
カバーエリアの違いが消費者がキャリアを選ぶ際の最も重要な事項。PHSは契約した都市でしか使えないという制限があり、一方で携帯電話なら中国の広い地域で使えるのは中国移動、中国聯通の両キャリアとも同じ。しかし中国移動のほうが中国聯通よりも広い範囲をサポートしているので、国土が広く移動が多い中国人には受けている。この差が契約者数に表れている。
中国人的発想であれば、より安い料金体系のキャリアを選ぶことになるが、両社利用料金は拮抗しており、決め手にならない。ただし場所により料金プランの種類が異なるため、自分にあった料金プランがあるほうのキャリアに消費者が走る傾向もある。例えばAの都市では、中国移動が15種類、中国聯通が10種類の料金プランがあり、一方Bの都市では中国移動が10種類、中国聯通が15種類といった具合だ。もう少し書くと、両社とも全国共通の料金プランはあるが、それに加えてその省や市独自の料金プランも用意している場合がある。料金プランの特徴は、例えば市内通話(省内通話)が安い、着信が無料、中国全国どこからでも比較的安い、基本料がかからない、CDMAも使える(中国聯通)などなど。
人それぞれなのでなんともいえないが、雲南省に拠点を持つ筆者自身は基本料金18元(270円)のプランに入っていて、普段はそれほど話さず着信だけ。たまに遠方の中国国内の友人と長電話をするくらいだ。それで1カ月だいたい50元(約750円)使う。通貨レートのままだと700円程度だが、中国人の感覚だと5000円(チャーハン10杯分)だ。生活を圧迫するほどの通話料金ではないだろう。
現在の通信方式は3Gはなく2.5G止まり。中国移動、中国聯通ともにGSMによるサービスがあり、加えて中国移動はGSMを高速化したGPRS、中国聯通はCDMA 1Xによるサービスがある。中国政府は、かなり前から3Gライセンスを“近い将来”発行するといっているがまだ発行されていない。中国が採用する3G候補にはW-CDMA、CDMA2000 1x、さらに中国独自の企画TD-SCDMAがあり(2004年6月24日の記事参照)、また通信キャリアとしては中国移動、中国聯通のほか、固定キャリアを加えた6社が3Gライセンスの争奪戦を繰り広げている。
PHSは着信無料、本体が安いというプラスな面を持つ一方で、
- 市内のみ使用可能
- SIMカードで番号を決めるわけではないので機種変更しにくい
- (最近まで)SMSが送れなかったと
いうマイナスの面もある。PHSの購入者は、携帯にこだわらない、旅行などで移動して圏外になっても気にしない、着信ができれば構わないという中高年層が息子や親類から渡されることが多いようだ。
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