ドコモの“指輪”ハンドセット、製品化の課題は:ワイヤレス・テクノロジー・パーク2006
ドコモは、CEATEC JAPAN 2005に出展して注目を集めた“指輪型”ハンドセットを出展。製品化に向けた課題を聞いた。
パシフィコ横浜で開幕した「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2006」のNTTドコモブースは入り口に最も近い一等地にある。ワンセグ携帯「P901iTV」やHSDPA対応の試作機によるデモや、ビデオ映像による4G(2月23日の記事参照)の実験風景の紹介などを行っている。
目玉の1つは、HSDPAのデモ(2月22日の記事参照)。同じ筐体の3G端末を横にならべ、ストリーミング配信による動画のなめらかさをアピールしていた(2月8日の記事参照)。下りの通信速度が384kbpsから3.6Mbpsになったというだけあって、両者の違いは一目瞭然。説明員によれば、HSPDA対応のFOMAは噂のデータ通信カードだけではなく、音声端末も用意されているようだ。今年の7月から8月に出る可能性もあるといい(2006年4月の記事参照)、早ければ夏モデルお目見えするかもしれない。
もう1つの目玉は、世界初の「指輪型」ウエアラブルハンドセット「Yubi-Wa」(2005年10月の記事参照)。骨伝導スピーカーを搭載した指輪型の受話器をBluetoothで携帯電話と接続し、Bluetooth対応ハンドセットやヘッドセットと同じように利用できるにするものだ。ただ、これは骨伝導といっても従来品のツーカー携帯のように、おでこや頬に当てても相手の声は聞こえない。指を直接、耳の穴に入れるスタイルで利用する。
指輪型スタイルになったのは、端末の消費電力を抑えて効率化を図ったため。24時間身につけることを考えると、こうした効率への配慮が必要になるという。また、指輪のような小ささを実現すると、ボタン類の実装スペースがなくなることから、新しいインタフェースの開発が求められる。Yubi-Waでは、親指と人差し指で円を描き、互いの指先をトントンとたたいて一定のリズムパターンを再現することで、ボタンに変わる入力コマンドを利用できる。機器がリズムに反応しているときは、指輪のLEDが青く光る仕様だ。
商品化は未定ながら、技術的にはほぼ完成しているといえるこのデバイスで、課題となるのはやはりバッテリーとサイズだ。試作機では80分ほどの連続通話ができるというが、現状ではとても人前に出せるサイズではない。将来的に見て、低消費電力に対応した無線通信技術であるZigBeeが市場に出てくるなら、解決の道はあるかもしれない。Yubi-Wa自体は一般のハンドセットなので、そうした無線通信技術の違いには何ら影響を受けないそうだ。
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