“ツボ”はしっかり押さえている――ウォークマンケータイ:「W42S」の音楽機能を試す(1)(2/2 ページ)
ポータブルオーディオプレイヤーの一時代を築いた「ウォークマンブランド」を冠する「W42S」。「ミュージックシャトル」を搭載するなど音楽再生機能にフォーカスした同端末の使い勝手を試した。
ライバルにはない、音楽携帯としてのこだわり
音質調整に関しては、LISMO対応端末でも製品ごとに異なるが、W42Sはノーマルを含めて5種類から選べるイコライザ、2段階の低音(バス)増強、サラウンドのオン/オフ、圧縮オーディオで失われやすい高域を補完する「harmonic tune」といった設定を備える。いずれも機能一覧で項目を切り替えると、その場で再生音に反映され、実際の効果を確認してから決定できる。
こうした使い勝手へのこだわりは、2006年夏モデルにおける音楽ケータイとしてのライバル「W44T」には見られない部分だ。また、単に音が派手になる傾向が強いサラウンドには凝らず、使用するヘッドフォン次第で効果の強弱をつけたい低音増強を2段階としている点には好感が持てる。
音質調整機能の中で特徴的なのがharmonic tune。オンにすると、スッと高域が伸びたような音質になり、効果は結構大きい。ただし、高域補完の相対効果なのか中低域が明らかに失われた印象も受けるので、楽曲しだいではシャカシャカした雑な音に聞こえることもあった。もっと気になったのは、着うたフルとメモリースティックオーディオで効果が異なる点だ。同じ音楽を着うたフルとメモリースティックオーディオ(ATRAC3 132Kbps)の両方で聴き比べてみると、着うたフルでは良好に高域を補完するが、メモリースティックオーディオでは不要だと思うことがあった。どちらかが聴くに耐えないということにはならないと思うが、方式の異なる圧縮オーディオを一緒に扱うことの難しさを感じさせられた。
au Music Playerは、起動中に終話ボタンを押して待受画面に戻っても再生を継続する「BGM再生」に移行することも可能だ。BGM再生中は、待受画面で終話ボタンを押した際に、音楽再生を停止するか、au Music Playerの画面に切り替えるかを選択できる。この点はBGM再生機能を持つau端末ならば、ほぼ共通の仕様だ。1ボタンで待受画面とプレーヤー画面を行き来できたW31Sからは一歩後退した感もあるが、W31S以外のau端末から機種変更しても、違和感なく操作できるというメリットもある。
音楽再生中に音声着信やメール着信があると、着信呼び出しに切り替わる。切り替わったあとは、呼び出しか通話、メールの受信が完了すると、音楽再生は停止位置から再開する。また、音楽を再生したまま音声発信を行った場合も音楽再生が一時停止し、通話完了後に停止位置から再開する。また、意図的に停止した場合も、次回再生時に停止位置から再開する。これらのレジューム機能は、音楽ケータイとして理想的といえそうだ。
BGM再生中は音楽再生以外の機能も幅広く利用できる。音楽再生が一時停止するのは、音が関連する機能や設定作業、メモリースティックへのアクセス時など。アプリやゲームなど常に音を利用するものは起動時に音楽再生が停止するが、EZナビウォークなどでは音声ガイダンス時のみ音楽再生が一時停止し、すぐに再開する。従って音楽を聴きながら、「徒歩ナビ」の音声ガイドを利用できる。さすがに音楽ケータイとしてのツボはしっかり押さえている。
ちょっと面白いのは、BGM再生中にメモリースティックDuo内のデータ一覧からメモリースティックオーディオの音楽を再生し、再びBGM再生に戻ることも可能な点だ。メモリースティックオーディオの場合、データフォルダから再生を指示すると、au Music Playerではなく簡易再生機能が起動するのでこのようなことができる。実用性がどこまであるか分からないが、“普段はプレイリストから再生しているが、気分転換で1曲だけ聞きたい”という時には役に立つかもしれない。
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