スマホの短期解約、最長1年の「継続利用」容認で抑制へ 「お試し割」は統合 総務省が取りまとめ
総務省の専門委員会は、携帯電話の短期解約問題を抑制するため、継続利用を条件とする還元案を支持した。分割での特典提供に限り、最長1年間の継続利用を条件とすることが適当であるとの方向性が示された。今後は2026年秋頃の答申を目指し、利益提供上限や囲い込み規制の在り方について議論を継続する。
総務省が6月24日、「利用者視点を踏まえたモバイル市場の検証に関する専門委員会」の第8回を開催した。同委員会は、電気通信事業法第27条3の規制を評価し、必要最小限のものに見直すことを目的としている。通信の継続利用を禁止する一方で発生している短期解約(ホッピング)問題や、端末購入プログラムの残価設定の在り方について議論してきた。
第7回まで実施してきた、関係者へのヒアリングや参加者の意見交換を経て、第8回では専門委員会による取りまとめ案を公表した。
電気通信事業法第27条の3では、通信の継続利用を条件とした利益提供が禁止されているため、多くのキャリアが新規契約やMNPを対象とした特典を提供している。ユーザーはキャリアを契約するだけで1万ポイントや2万ポイントなどの特典を受けられ、短期解約した場合でも解約金は「なし」か、発生したとしても1100円程度なので、キャリアを乗り換えるだけで多額のポイントを得られてしまう。
委員会では、こうしたホッピング行為を抑制するための案を話し合ってきた結果、以下の3案を提案した。
- 案1:新規契約を条件として利益提供する場合の継続利用条件の緩和
- 案2:通信サービス解約時の違約金の上限引き上げ
- 案3:新規契約を条件とする利益提供の上限引き下げ
第8回の取りまとめでは、案1による見直しが適当だと結論付けた。案1では、新規契約やMNPを対象とした還元を受けるには、一定期間、継続利用することを条件とするため、短期解約に対して一定の抑止効果が期待されるとしている。
一方、案2の違約金の引き上げは、案1よりも強く通信サービス選択の自由を妨げることになると委員会は指摘する。また、通信品質に対して不満を持って短期解約した場合、健全な理由による選択を阻害することも危惧する。
案3の利益提供の上限引き下げは、「競争制限的ではない形で乗り換え特典を付与すべき」「特典をどの程度付与するかは事業者の経営判断で責任を取るべき」との理由から、慎重に考えるべきとのスタンスを示した。
案1の継続利用の期間については、MVNOからは「6カ月を超えるべきではない」との意見が挙がったが、逆に6カ月では短く、ホッピングが生じうるという懸念が挙がっている。そこで、分割での利益提供に限り、最長1年間に見直すことが適当だとした。なお、乗り換え直後に特典を一括付与することは、各キャリアの自主的な取り組みを重んじ、現時点では規制しない。
携帯キャリア各社は、新規契約を条件として最長6カ月間、通信料金を割り引ける「お試し割」を実施できるが、今後、最長1年間の分割利益提供が可能になったことで、委員会は「お試し割を設ける意義がなくなった」と判断。お試し割はどのキャリアも実施していないことから、見直し後の制度に統合することが適当だとした。
今回の取りまとめ事項は、今後、本委員会の親会である市場検証委員会に報告。市場検証委員会の検証事項と合わせて「令和7年度評価」とし、意見交換を経て令和8年(2026年)秋頃に答申予定。答申を踏まえて、所要の制度改正を順次進めていく。モバイル市場の検証に関する専門委員会は引き続き、27条の3の利益提供上限規制や囲い込み規制の在り方について議論する。
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