「ユーザーがもっとも電話したいのは21時から2時」──制限のないコミュニケーションを実現するウィルコム(2/2 ページ)
ウィルコムが1月22日に発表した新端末ラインアップと料金プランの内容変更は、ユーザーが制限のないコミュニケーションを楽しめるよう配慮して生まれたという。PHSという独自の強みを持つウィルコムの戦略とは。
ビジネスシーンをにらみ、端末のセキュリティを強化
コンシューマーユーザーだけでなく、ビジネスシーンでの利用も意識しているウィルコムでは、新端末のセキュリティを強化しているのもポイントだ。
離れた場所から端末の機能をロックできる「リモートロック」や端末内のデータを削除する「リモート消去」、指紋認証、パスワード認証といった、ビジネスユーザーの関心が高い機能にしっかり対応した。「WX321J」は4項目すべて、「WX320K」と「WX220J」は指紋認証以外の3項目をサポートしている。
リモートロック機能は、従来は端末側で設定をしていないと利用できなかったが、今後は機能を未設定の場合でも、サービスセンターに電話するだけでロックする「リモートロック代行サービス」を1回525円で提供する。
サービスだけでなく、より企業での使い勝手を向上させる新たな端末も用意する。1つは松下電器産業が開発した、W-SIM対応の会議用スピーカーホン(1月22日の記事参照)。工事現場などの電話回線がない場所でも、定額で電話会議ができる。また岩崎通信機のW-SIM対応PHSアダプタや、NECマグナスコミュニケーションズの「VoiceWay」も提供。これらをPBX網に接続すれば、会社と出先の営業担当者間の通話も定額にできる。
ユーザーの広がりに合わせ、コラボモデルも投入
「定額制が広く認知されるに従って、ユーザー層に広がりが出てきた」(喜久川氏)ことから、新たにnico.のコラボレーションモデルも投入する(関連記事1、関連記事2)。
黒い子猫のフィギュアがついた大人向けの端末「nico.neco」は、タカラトミーとのコラボレーションモデルだ。白と黒のモノトーンの端末は、従来のマーブルチョコレートのようなポップな端末とは印象が異なる。タカラトミーの取締役常務執行役員マーケティング統括本部副統括本部長 兼 ネクストトイマーケティング本部長の眞下修氏は、「おもちゃ作り、コンテンツ開発力が我々の強み。それを使っていろいろな分野に出ていきたいと考えている。今回は(大株主であり、DDIポケット時代からウィルコムと付き合いのある)インデックスがウィルコムとの間に立ち、ウィルコム端末を共同で作ることになった。遊び心を持った大人向けのキャラクターコンテンツの開発に協力できてよかった」と話した。
また世界的なアパレルメーカー、ベネトンとのコラボレーションにより、今までにない独特なカラーリングのnico.も誕生した。ベネトンジャパンの代表取締役社長、矢口健二氏は、「日本では約30年ほど企業活動をしてきたわけだが、その間常に革新的であることを目指してきた。ウィルコムもまた革新性のある、先を見据えたサービスを開発する会社だ。またベネトンは安全、安定といったキーワードで、広告活動などを通して社会貢献してきたが、ウィルコムの安全、安定をいろいろな形で問いかけていく姿勢は弊社の企業理念とマッチしている」と、このコラボレーションの成功に期待を寄せた。
喜久川氏は「こういったコラボレーションができるのは、携帯電話キャリアとはビジネススタイルが異なり、水平展開をしているから。またW-SIMの開発により、ハードウェアを低いロット数で作れるようになったのも大きい。カスタマイズが容易に行える」と、W-SIMのメリットをアピールした。
ウィルコムは今後も大容量・省電力のマイクロセルネットワークという独自の特徴を生かし、“制約のない”サービスとプロダクトを展開していく。そして、法人や取引先、シニア、サークル、家族、友達といった“コミュニティ”を中心に、皆がウィルコムになる利点をアピールし、市場の拡大を目指す。契約者数も早期に500万加入にまで増やす考えだ。
左からウィルコム執行役員副社長 土橋匡氏、タカラトミー取締役常務執行役員 眞下修氏、ウィルコム代表取締役社長喜久川政樹氏、同代表取締役会長 木下龍一氏、ベネトンジャパン代表取締役社長 矢口健二氏、インデックス代表取締役社長小川善美氏、ウィルコム執行役員副社長 近義起氏
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