スマートフォンの成長を妨げかねない“4つの要因”とは:Symbian Smartphone Show 2007
スマートフォンの出荷台数は順調な伸びを見せているが、ネットワークの統合が進む中、それを妨げる要因もあると英Symbianのデビッド・ウッド副社長は指摘する。
世界で出荷されている携帯電話の10台に1台が標準OSを搭載したスマートフォンとなった現在、その出荷台数は順調な伸びを見せている。しかし、ネットワークの融合などの新たなトレンドが、それを阻害しかねないという見方もある。
英Symbianが開催した「Symbian Smartphone Show 2007」で講演を行った同社調査研究担当取締役副社長のデビッド・ウッド氏が、業界のプラス要因とマイナス要因を分析した。
スマートフォンの将来を見抜いて1998年に創業したSymbianは、2002年に搭載機の累計出荷台数が100万台に到達。以降、一気に成長速度が加速し、2007年6月時点の累計出荷台数は1億4500万台に達した。
ウッド氏はまず、スマートフォン市場の伸びが加速している要因として(1)端末の低価格化(2)品質と性能の信頼性(3)ファッション性(4)口コミによる価値の広がり(5)価値のあるサービス(6)エコシステムの確立 の6つを挙げた。
こうした背景から業界はスマートフォンの将来に楽観的で、複数の調査会社が2010年から2012年に累計出荷台数が10億台に達すると見込んでいる。これが実現すれば、スマートフォンはメインストリームの携帯電話となる。
このような明るい未来に影響を与えかねない、破壊的要因としてウッド氏が挙げるのは、ネットワーク、Web 2.0、新端末、オープンソースなどだ。
ネットワークについては、4Gで固定ワイヤレスとセルラーの両方のモバイル技術が入ってくる点が影響すると指摘。Web 2.0は、この流れが携帯に浸透すればプラットフォームはWebとなり、OSの重要性が低くなることから、Symbianにとっては無視できないトレンドだ。また、スマートフォンの要素を持つものの、特定用途を想定した新端末の登場も阻害要因の1つだとし、例としてナビゲーションやメッセージング、Webブラウジング、エンタープライズ、iPod/iPhoneを挙げた。「大企業がこのような新しい端末に興味を示しており、リソースを注ぎはじめている」(ウッド氏)。オープンソースは、「モバイル業界にどのようなインパクトを与えるのかはいまだに予測しにくい」(ウッド氏)としながらも、要因の1つになるとしている。
しかしウッド氏は、「われわれは準備ができている。これがSymbianのメッセージだ」といい切る。Symbianはこのような事態を予測しており、将来に備えたOSの開発を行っているというわけだ。その例として、Symbianが16日に発表した「FreeWay」「ScreenPlay」などの機能強化を改めて紹介した。
ウッド氏はまた、講演の中で、今後5年のアプリケーションのトレンドにも言及。1つは「Nokia N95」などNokiaが注力分野として取り組んだことで注目を集め始めているナビゲーションだ。「ユーザーは“追加料金を払ってでも利用したい”と思っており、ニーズがあることは明らか。今後、“自分のいる場所でカメラをかざすと建物を認識する”といった利用が実現するかもしれない」(ウッド氏)
このほか、カメラや音声認識を使った翻訳、検索や音声によるアプリケーションへのアクセスといったのUIの改善、CGMなどが新しいトレンドになるだろうと予測している。
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