楽天、MNO本格参入後に初の黒字化 三木谷会長「KDDIローミング終了」と「値上げ」は明言避ける
楽天グループの2026年12月期第1四半期決算は、モバイル事業参入後初となる第1四半期営業黒字を達成した。モバイル事業では短期解約の抑制に成功し、5G基地局の増設を急ぐ。今後はフィンテック事業の再編や基地局建設の加速により、エコシステム全体の収益最大化を目指す方針だ。
楽天グループは5月14日、2026年12月期第1四半期の連結決算を発表した。売上収益は前年同期比14.4%増の6435億8300万円、営業利益は303億9400万円で前年の赤字から黒字に転換した。
EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同36.2%増の1087億9100万円となり、楽天モバイルのMNO事業本格参入後、第1四半期としては初めて1000億円を突破した。Non-GAAP営業利益も前年同期比366億円増の362億9900万円となり、黒字化した。MNO本格参入後、初めての第1四半期黒字を達成した。
同社の三木谷浩史会長兼社長は、「日本において“エコシステム”は楽天が作った」と胸を張り、70以上のグループのサービスがシナジーを高め合っているとアピール。例えば3つの同社サービスを使っている人は、1サービスしか使っていない人に対して13.5倍の売上となっているという。
2020年から2025年の累計で楽天エコシステムの新規加入者は、インターネットサービス経由で1970万人、FinTech経由で1610万人、モバイル経由で290万人と、それぞれ増加した。これらの新規ユーザーは他のサービスを併用する割合が大きくなるということで、こうしたロイヤリティーの高いユーザーのさらなる拡大を目指して収益のさらなる向上を目指す構えだ。
モバイルは短期解約を抑制、基地局建設を加速へ
モバイル事業は、売上収益が同18.5%増の1312億円、Non-GAAP(独自の会計基準による)営業利益は380億円の赤字だが、同133億円の改善。EBITDAは76億円の改善で10億円の黒字化を果たした。
契約数は同174万回線増の1036万回線。解約率は1.57%となった。ARPU(1ユーザーあたりの月間平均収入)は同6円増の2834円となった。
楽天モバイル単体でも、売上収益は1080億円で同23.9%増、Non-GAAP営業利益は127億円改善の364億円の赤字だった。固定資産税を除くEBITDAは66億円改善で66億円の黒字。契約者基盤の拡大を目的にマーケティング費用の先行投資を実施したことで、前四半期比では横ばいとなった。こうした顧客獲得費用を除けば132億円増の287億円だった。
MNO純増数は37.3万回線となった。調整後MNO解約率は四半期としてはわずかに上昇したが、累計5回線以上の契約で事務手数料を導入したり、本人確認ルールを強化したりしたことで、「短期解約を抑えたことが極めて重要」と三木谷氏は強調している。
設備投資は、第1四半期として262億円を投じた。さらなるネットワーク品質向上に向けて増強を加速させる。ただし、人手不足などによる増設の難しさもあり、第2四半期以降は、設置場所探しなどの前工程を社内人員で行い、基地局建設を加速させたい考えだ。
KDDIのローミングは「ユーザーに迷惑を掛けない」ことを強調
ネットワークに関しては、既存のローミング契約についてKDDI側が順次終了させる方針を示している。三木谷氏は、日本の電波行政では、海外とは異なりオークション制ではなくMNOは安価に利用できている点を指摘。その上で、「競争はあるかもしれないが、ユーザーにとって一番重要なことは、ユーザーに迷惑を掛けないこと」として、KDDI側に理解を求める姿勢を示した。
MNO各社の値上げが続く中、料金プランに関する方針を問われた三木谷氏は、「後発で他社に比べてシェアも低いため、総合的に判断しながら長期的に考えていきたい」と述べるにとどめ、明言を避けた。
再編によってさらなる成長を目指すFinTech
成長をけん引するフィンテック事業は、売上収益が同23.1%増の2753億円、Non-GAAP営業利益が同33.8%増の585億円で、特に楽天銀行と楽天カードが伸長した。コストコントロールも奏功したこともあり、楽天証券、楽天銀行を中心に、全事業が増益となった。
楽天カードは会員基盤が拡大し、客単価も伸びたことでショッピング取扱高が6.8兆円まで拡大した。リボ残高・分割払い取扱高も成長したことが増収につながった。コストコントロールがきいたことで大幅増益につながったという。
楽天ペイメントも顧客基盤やパートナー企業が拡大して取扱高が伸長した。楽天銀行も順調に拡大した。
NISAの拡大によって順調な楽天証券は、四半期ベースでは過去最高の売上を達成。営業利益はほぼ倍増となる146億円まで拡大した。
さらに、今後の成長に向けて2026年10月をめどにフィンテック事業の再編を実施する。「財務シナジーが極めて大きい」と三木谷氏は期待を寄せ、中期的には数百億円規模の効果が得られるとした。他にもクロスユース率やARPUの上昇による顧客基盤の最大化、法人顧客基盤の最大化などの効果を見込む。
三木谷氏は、個人向けに対しては「特にアプリ統合でスーパーアプリ化がしやすくなる」と話した。
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