第19回 Flickrモブログユーザー御用達──「Flickup」:松村太郎のiPhone生活:写真
オンラインフォトコミュニティ「Flickr」を活用しているiPhoneユーザーにお勧めしたいのが、アップロード用アプリ「Flickup」だ。シンプルなユーザーインタフェースで、その場で撮影した写真や写真アルバム内の写真をFlickrの自分のアカウントにアップロードできる。
今回紹介するアプリはFlickup。価格は350円だ。このアプリは、オンラインフォトコミュニティ「Flickr」専用の写真アップローダーで、アプリで写真を撮る、フォトアルバムからFlickrに写真をアップロードする、といった機能を備える。
僕はFlickr愛用者を通り越して、Flickr中毒者と言えるかもしれない。米Yahoo!に買収される前からFlickrを有料ユーザーとして使っていて、ひとまず撮影した写真のすべてを、プライバシーの調整をした上でFlickrにアップロードしている。最近ではMacのKeynoteやPowerPointで作った図版までFlickrにアップロードしてタグを活用して管理するほどだ。
Flickrに写真をアップロードすると、自動的に5種類のサムネイル画像を生成してくれる。つまり一眼レフデジカメで撮影した解像度の高い写真も、アップロードするだけで小さい写真にしてくれるのだ。おかげでサイズ変更くらいだと特にアプリケーションを使わないで済むようになった。写真をアップロードしてできたサムネイル画像をケータイに送信すれば、素早く写真をモバイルでシェアすることも可能だ。
ちなみに最近、FlickrのモバイルサイトがiPhone/iPod touchに最適化され、Ajaxを使って快適に閲覧できるようになった。さらに動画の再生にも対応している。そんなFlickrとiPhoneとの親和性をさらに高めてくれるのが、このFlickupである。
Flickupを買う前から、出先からiPhone 3GでFlickrに写真をアップロードする、いわゆるモブログをしていた。一応、件名にタイトル、本文に「Tags:xxx」と記述して写真を添付してメールを送れば、写真にあらかじめメタデータを付けることができるなど、便利な機能もあった。
ただ、メールを使って写真をアップロードすると、せっかく1600×1200ピクセルで撮影した写真も800×600ピクセルにダウンサイズされて送信されてしまう。また、最近でこそ安定性が増したものの、iPhone 3G発売当時のソフトウエアでは、大きな写真を添付して文字入力をしたり宛先を選んだりしていると、メールアプリが落ちてしまうことがよくあった。そのため、写真をアップすることをあきらめることも多かった。そんなときに手に入れたのが、このFlickupである。
iPhone 3Gのソフトウェアがだいぶ安定した今でも、Flickupの存在意義は大きい。分かりやすいインタフェースでタイトル、説明、タグを編集できるほか、Flickrのフォトアルバムの単位である「Set」への登録や、公開・非公開の設定もアプリでできる。さらに、Flickupはアップロード時に位置情報を取得し、Flickrにジオタグ(位置情報タグ)付きで保存する機能もある。Flickr側の「Map」を見れば、地図に写真がマッピングされるのだ。
僕がモブログに目を付けたのは2003年。ちょうどMovable Typeで安定してブログが書けるようになり、メールアップローダーが登場して、カメラ付きケータイからブログに写真付きのエントリーをポストできるようになったころだ。この写真にGPS情報が付いていれば、地図上にマッピングして社会調査のインフラにしたり、今で言うライフログ情報の蓄積が可能になるのではないか。そんなことを考えていたものだった。
あれから5年。GPS搭載のiPhone 3Gが登場し、FlickrにアップロードできるFlickupを手にしている。これで写真を撮ってリアルタイムにアップロードしていけば、当時苦労して構築した環境が、Webサービスと端末の組み合わせで実現できてしまうのだから感慨深い。もちろん、そんなにややこしいことを考えなくても、Flickupは簡単にFlickrを楽しむための良きパートナーとして働いてくれるだろう。
ここで“One more thing”。Flickupのバージョン1.2には、同じiPhoneにインストールしてあるTwitterクライアントアプリと連携する機能が搭載されている。例えば僕が愛用しているTwinkleを選んでおくと、Flickupでアップロードが終わったら自動的にアプリがTwinkleに切り替わり、写真につけたタイトルと写真ページの短縮URLが入力された状態になる。Twinkleのほかに、Twitterrificにも対応している。
このままポストすれば自分のTwitterのタイムラインに写真のアップロードが告知される。Flickrにアップした写真にはジオタグがついているので、写真を撮影した位置の情報は伝えられるが、Twinkleでもポストすることで位置情報が伝えられるので、ほかのTwinkleユーザーに、その場所で撮影したほかの写真を見てもらうこともできる。
こうやってiPhoneの上でもアプリ間が連携し始めると、本当にたくさんの可能性や利便性が見えてくる。とにかく記憶を補助し、拡張していくツールとしてのiPhoneのポテンシャルは、広がる一方であることを感じさせてくれる。
プロフィール:松村太郎
東京、渋谷に生まれ、現在も東京で生活をしているジャーナル・コラムニスト、クリエイティブ・プランナー、DJ(クラブ、MC)。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。1997年頃より、コンピュータがある生活、ネットワーク、メディアなどを含む情報技術に興味を持つ。これらを研究するため、慶應義塾大学環境情報学部卒業、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。大学・大学院時代から通じて、小檜山賢二研究室にて、ライフスタイルとパーソナルメディア(ウェブ/モバイル)の関係性について追求している。
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