ウィルコム、PHS基地局の96%が復旧――残りも9月下旬までに回復の見通し
震災の影響で停波したウィルコムのPHS基地局が、被災前の96%まで復旧した。今後は基地局性能のアップなどでカバーエリアを広げ、34局を4月下旬までに、395局を9月下旬までに復旧させる見通し。
ウィルコムは4月18日、東日本大震災によって使えなくなっていた同社PHSサービスの復旧状況と今後の見通しを発表した。
同社のPHS基地局は地震や停電の影響により、最大約1万4000局(3月12日時点)でサービス提供ができなくなったが、復旧活動や停電の解消により18日時点では約540局まで減少。被災前の96%まで回復した。
現在も停止している540局の内訳は、岩手県127局、宮城県286局、福島県127局となっており、依然として3県の沿岸地域でPHSサービスが利用できない状態にある。このうち34局(岩手6/宮城26/福島2)は暫定復旧が可能なため、4月末までに回復する見通し。さらに、設備や局舎が流出・損壊して早期の回復が困難な395局(岩手121/宮城260/福島14)については、9月下旬までの復旧を目指すとしている。なお、これとは別に、福島原発の周囲にある111局の対応が未定となっており、さらに長期期間のサービス停止を余儀なくされそうだ。
ウィルコムのPHS網はマイクロセル方式と呼ばれ、1つの基地局が数百メートル単位の狭いエリアで重なりあってサービスを提供するのが特徴。暫定復旧する34局では震災前の密なエリア展開ができないが、電波がよく届く立地の基地局を選び、機器やアンテナを性能の高いものに交換して十分なサービス品質を提供するとしている。
津波被害を受けて建て替えが必要な沿岸地域の基地局についても、鉄塔などの高所への設置により広いエリアをカバーするよう復旧させる。その後の本格復興に向けては、交通・電気・電話などのほかの社会インフラの復旧状況や、国や行政機関が策定する復興計画を踏まえて再整備する予定だ。
また、東北地方にあるウィルコムプラザ(全14店舗)が4月11日までに営業を再開し、ウィルコムカウンター(全7店舗)は建物が損壊した1店舗と福島原発周辺の避難エリアにある1店舗を除いた5店舗が4月16日までに営業を再開した。
このほか、同社コールセンターがある仙台市内のビルが被災したため、電話が繋がりにくい状況になったが、別エリアへの業務分散や音声自動応答装置の利用などで対応した。現在は仙台での業務も再開しており、ほぼ定常時と同等のつながりやすさに戻っている。
ウィルコムでは、被災エリアにいるユーザーへの料金無償化や支払期間の延長、現地の医療機関へのPHS端末無料貸し出し、義援金の受付など、被災地への支援活動を行っている。
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