Nexus 5のベンチマークスコアと背面温度をチェックする:スマートフォンの性能測定もいろいろ大変です(2/2 ページ)
“KitKat”ことAndroid 4.4に注目の「Nexus 5」は、大画面にして薄軽なハイエンド構成だったりする。となると、やっぱり気になるのは処理速度と“熱”だ。
最新OSだけにチューニングはもう少しか
そういうわけで、まずはベンチマークテストでNexus 5の処理能力を測定してみる。使うのはGALAXY Note 3の性能測定でも使用した以下のベンチマークテストだ。ただし、AnTuTu Benchmarkのバージョンは、4.0.3から4.1.1に更新している。また、Vellamoでは、「Ocean Zoomer」と「WebGL Jellyfish」が正常に動作せずスコアに組み込まれていないため、今回の測定比較から除いた。
なお、比較するスマートフォンには、世代が同じモデルということでソニーモバイルコミュニケーションズが2013年9月に発表して、日本のキャリアが10月から出荷しているXperia Z1(NTTドコモの2013-2014年秋冬モデルの「SO-01F」)を用意した。
- Quadrant Professional Edition 2.1.1
- AnTuTu Benchmark 4.1.1
- 3DMark Android Edition 1.2
- Smartbench 2012
- CF-Bench 1.3
- Basemark X1
Quadrant Professional Edition 2.1.1
AnTuTu Benchmark 4.1.1
3DMark Android Edition、CF-Bench、
Basemark X1、Smartbench 2012
同じプロセッサーを搭載してほぼ同じクロックで駆動し、システムメモリ容量もデータストレージの仕様もほぼ同じNexus 5とXperia Z1だが、ベンチマークテストのスコアでは、多くの項目で大きな差がついている。その差が特に大きいのは、Quadrant Professional Edition 2.1.1のCPU関連テストと2Dテスト、AnTuTu Benchmark 4.1.1のCPU Floatテストにメモリ関連テスト、Smartbench 2012のProductivityテスト、そして、CF-Bench 1.3のJava Socreだ。ただ、Basemark X1では、Xperia Z1のスコアが上回っているものの、その差はわずかといっていい。
CPU関連では、ベンチマークテストの浮動小数点における扱いがNexus 5とXperia Z1で異なっているのかもしれないし、Java周りの処理でも同じことがある可能性も考えられる。一方で、Rightware(ここは3DMarkなどPC向けベンチマークテストを長年開発してきたFuturemarkのメンバーがスピンアウトして設立したベンダーだ)のBasemark X1では、ハードウェア構成に見合った結果になっている。わずかな違いがでてNexus 5のスコアが下回ったのは、Android 4.4に導入した各部ドライバのチューニングが進んでいないのが影響しているかもしれない。ハードウェアの処理性能が大きく影響する3Dグラフィックス関連の各項目で、CPUや2D、Java関連のような“極端な”違いになっていないのも、ドライバのチューニングの影響を示唆している。
その性能は背面温度とのトレードオフだったのか
ボディは8ミリという薄さで、中にはクアッドコアのプロセッサーが2.26GHzという高い動作クロックで駆動している。当然、内部の放熱にファンなどは使っておらず、本体のパネルを利用したパッシブ冷却だ。ということで、Nexus 5の背面パネルもベンチマークテストの間、それなりに熱くなっていた。
そこで、Nexus 5でも背面パネルの温度を測定してみた。測定は、ベンチマークテスト(3DMark for Android)を30分間連続実行しながら、10分ごとに背面パネルの温度を、9カ所で測定している。測定する9カ所のポイントは、背面をほぼ均等に4×4のます目に区切り、ます目を区切る格子の交点を選んだ。今回測定を行った部屋の温度は25度(空調入)、デバイス本体をおいたパネルの表面温度も26.2度で安定していた。
アプリ動作時間 | スタート | 10分 | 20分 | 30分 |
---|---|---|---|---|
ポイント1 | 31.2 | 40.6 | 42.2 | 41.6 |
ポイント2 | 31.8 | 41.4 | 43.0 | 41.8 |
ポイント3 | 28.4 | 35.4 | 37.2 | 37.4 |
ポイント4 | 29.8 | 35.4 | 36.8 | 37.2 |
ポイント5 | 30.2 | 35.8 | 37.6 | 37.6 |
ポイント6 | 29.2 | 31.6 | 32.2 | 33.4 |
ポイント7 | 30.2 | 33.2 | 34.4 | 33.2 |
ポイント8 | 29.4 | 32.4 | 33.6 | 32.4 |
ポイント9 | 27.6 | 29.6 | 31.2 | 30.8 |
熱い部分は、本体上部に限られ、その最も高い状態で42.2度だった。中央部では背面に向かって左側と中央で体温をわずかに超えたものの、それ以外は30度台前半にとどまり、不快に感じることはなかった。ユーザーが手に持ってつかうハードウェアとして、背面パネルの温度は許容範囲に十分収まっている。ベンチマークテストの結果も、この背面温度とのトレードオフの結果なら、至極妥当といえるだろう。
スマートフォンの処理能力をベンチマークテストを使って評価するのは、いろいろと事情があって難しい状況にあるが、Rightwareのように、ハードウェアベンダーの“小技”をそのつど回避するように努めていると、トップ自らが発言するベンチマークテストベンダーもいるので、使うツールをうまく選べば客観的な評価も不可能ではない。
とはいえ、Android 4.4で改善したというユーザーの実利用に即した画面遷移のスピードや、2300mAhというやや少なく感じるバッテリーによる駆動時間の状況なども重要な評価指標だ。この項目については、また別記事として紹介する予定だ。
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