2013年、印象深かった業界キーマンインタビュー――今年も貴重なお時間をいただき、ありがとうございました:石川温のスマホ業界新聞
2013年もさまざまなモバイル業界のキーマンにインタビューしてきた。その中でも特に印象深かった5人をピックアップし、前年を振り返ってみたい。
2013年もあとわずか。年末恒例企画の締めは「インタビュー取材して、印象的だった業界キーマン5人」をお届けします。インタビュー取材の場合、通常は30分~1時間程度、いろんな質問をあれこれぶつけて答えてもらうのですが、ここで「いかに面白いことを引き出すか」が重要だったりします。何度も取材している相手だと、本音が聞けて面白い分、あまりにオフレコすぎて、記事では書けないことばっかりになったりと、そのバランスが難しかったりもします。
今回は特に順位は付けず、インタビューした日付順にご紹介していきます。
来年も、いろんな人にインタビューしまくりたい。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2013年12月28日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額525円)の申し込みはこちらから。
■■2013年、印象深かった業界キーマンインタビュー5人■■
7月9日 NTTドコモ 加藤薫社長
世間的には「この秋、ドコモからiPhoneは出るのか」というのが注目であり、記者としても、なんとかヒントを聞き出そうと、ドコモに気合いを入れて乗り込んだインタビューだった。
しかし、iPhoneに関して、ノーコメントというわけでもなく、いつもの調子で喋るので「こりゃ、このタイミングでNDAも結んでいないということは今年もないのかな」とすっかり騙されてしまった。本当に加藤社長のポーカーフェイスぶりには恐れ入った。
しかし、振り返って見ると、「KDDIとソフトバンクは下取りしたiPhoneをどうしているのか」と、こちらに聞いてきたりと、何か探りを入れている感があった。
加藤社長の笑顔に見事騙されてしまったことを反省。人のことを素直に信じてしまいがちなので、これからはとにかく疑ってかかろうと思う。
8月28日 NTTドコモ/阿佐美弘恭スマートライフビジネス本部長
とにかく熱い。インタビュー取材中、こちらが特に質問をしなくても、ずーっと語ってくれる。dメニュー、dマーケットが、どのようなポジションで、これからどのような戦略を目指していくかをわかりやすく教えてくれた。
取材はiPhone導入前で、「iPhoneとdマーケットは共存するのか」と単刀直入に聞いたとき「(iPhone関連の話は)ノーコメントってことになっている」としながらも「Google Playと同じスタンスとして考えればよいのではないか」と語ってくれた。
実際、このタイミングでは、かなりのサービスにおいてiPhone対応を進めていたはずだ。もうちょっと突っ込めば、さらにiPhone絡みでヒントがもらえる可能性もあっただけに、しぶとく質問をぶつけなくてはいけないと改めて反省してしまった。
9月13日 ソフトバンクモバイル 宮川潤一CTO
iPhone5s/5c発売時、KDDIがプラチナバンドLTEを訴求しており、「ソフトバンクは発表会を開かないのかな」と思ってたら、急遽、呼び出されて行ったインタビュー取材。ソフトバンクではいくつかのメディアを個別に呼んでインタビューをさせていたらしい(実際は、孫社長から「田中社長にいいように言われているから、宮川が言い返せ」と宮川さんの後ろから鉄砲が飛んできたということで、インタビュー時間が設定された模様)。
数多くの媒体で宮川さんの記事を見たので、宮川さんは相当な時間、取材対応していたっぽく、いつも以上に疲労の表情を浮かべていた。
倍速ダブルLTEやプラチナLTEの展開予定、iPhoneのTD-LTE非対応など、普段、なかなか聞けない話を取材できたのは面白かった。
ただし、接続率調査をしているAgoopの柴山さんも同席していたのが「どうなの?」とちょっと疑問には思った。「別会社が調査をしているから信頼性が高い」と言っていたのに、ネットワークの優位性を語る上で同席されちゃうと「何を信じたらいいのかしら」ということにもなるし。あの調査データを元にネットワーク品質を上げる努力をするのは理解できるのだが、その数値で他社比較はなかろうと思う。
9月27日 KDDI 田中孝司社長
iPhone5s/5c発売の翌週であり、年末商戦モデル発表を翌週に控えた日程で取材。iPhoneの売れ行きがどうなのか、またアップル発表会はどんな雰囲気だったのかなどが話題の中心だった。MNPも好調で、機嫌が良かったのが印象的だった。また、アップル発表会会場周辺でドコモ・加藤社長の出待ちをしているメディアのために、加藤社長と一緒に会場を出ようとしたら、見事に逃げられたと悔しそうに語っていたのが面白かった。
一部メディアにも出ていたが、ティム・クックCEOとはかなり仲がいいみたい。3キャリアで同じiPhoneを調達するとはいえ、いかにアップルと仲良くして、自社に有利に進めるかが重要だという雰囲気を感じた。
12月4日 日本通信 三田聖二社長
Twitterでも難解な日本語ツイートでお馴染みの三田社長。広報からのお誘いでふらっとインタビュー取材に出かけたつもりで、1時間弱で帰ってこようと思ったら、なんと3時間近くの長丁場になってしまった。三田社長の昔話から、いまのMVNO市場の現状、今後の日本通信の戦略など多岐に渡る内容で面白かったが、社員でも時より理解できないという三田社長の日本語を3時間近く取材するというのは結構、骨の折れる時間であった。
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