F-06Eの地味ながらも技術的マイルストーンを分解して知る:バラして見ずにはいられない(3/3 ページ)
海外勢に押され気味の日本製デバイスだが、分解して細かく確認すると世界初の技術を数多く採用している。F-06Eも、このような視点で見ると実に興味深い。
通信部門で強い日本の部材メーカーであるが
富士通の強みは、自前の通信機ノウハウを持つことだ。これまで富士通製デバイスには、自社開発の通信チップを搭載することが多かった。しかし、今回はQualcommの製品を搭載している。これに伴い、ベースバンドチップや電源IC、アプリケーションプロセッサもすべてQualcomm製となった。
これらの主要ICを死守していた日本の通信ICはついに姿を消したが、日本製も健在だ。通信部に数多く搭載しているフィルタやデュプレクサは村田製作所や太陽誘電製だ。アンテナスイッチはソニー製を使っている。
なお、F-06Eはフルセグ放送に対応している。フルセグ受信ICは富士通製だ。騒がしい環境下での通話時に音質を補正して聞きやすくする機能を備えているが、これを実現しているのは、ヤマハのオーディオプロセッサと推定している。
オーディオプロセッサとオーディオコーデックの役割は基本的に異なる。本機に搭載しているQualcommのオーディオコーデックは、音声や動画などに使用するファイル圧縮フォーマットを解読して視聴可能な状態に復元する機能を担うが、音声そのものをイコライザのように調整するのはオーディオプロセッサの役割だ。
有効1630万画素のモバイルカメラで撮影した画像の処理を行うのも富士通のICだ。型番などは明らかでないが、同社の商品名「Milbeaut」に属するものと推定している。これほど画素数が増えるとアプリケーションプロセッサでは処理が追いつかない。2014年に入りモバイルカメラは遂に2000万画素の壁を越えた。富士通の画像処理ICもまだまだ現役で忙しくなりそうだ。
F-06Eは次世代近距離無線規格(NFC)にも対応している。この機能はソニーの「CXD2235」が担当している。同時にRFID(Felica)にも対応しており、こちらは東芝製ICが受け持っている。これは、ICの捺印から型番は判別できないものの、印刷のフォントから推定している。
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