iOSのアクセシビリティを知ろう!――VoiceOver設定編(2/2 ページ)
iPhoneのアクセシビリティ機能とはどんなものなのか? まずはジェスチャー操作と音声フィードバックを提供するUIの「VoiceOver」をテーマに、その意義を解説する。
特殊な操作方法
さて、VoiceOverが有効になると操作方法が大きく変わります。通常時は1タップで「選択&起動」が行われますが、視覚が使えない状態では何がどこにあるか分からないため、目的のアイコンを一発でタップすることができません。このため選択と起動のプロセスが分離されます。VoiceOverがオンの状態でホーム画面を見ると、アイコンに枠が付いているのが確認できると思います。
VoiceOver有効時には、「選択、そして実行」という2ステップになると考えてください。選択するには普通にタップ(または画面上をなぞる)でも構いませんが、見えない状態ではそもそも何があるかすら分かりません。ので、画面を左右にスワイプすることで、前後のアイテムに移動できるようになっています。右にスワイプで次のアイテム、左にスワイプで前のアイテムです。こうすることで、画面上のすべての項目にアクセスできるようにしているんですね。目的のアイテムを選択したら、ダブルタップで実行します。この左右スワイプやダブルタップは画面上のどこでも構いません。画面全体が一つのトラックパッドと考えると良いでしょう。
画面上の選択肢の数だけスワイプするのは大変なので、全ての項目を読み上げるジェスチャーもあります。2本指で下から上にスワイプです。2本指で上から下にスワイプすると、現在の項目から先だけを読み上げます。読み上げを停止したいときは2本指でタップです。ページを移動するには、3本指のスワイプです。ホーム画面上で3本指左スワイプをすると次のページに移動します。Safariやメールなどで3本指上スワイプを行うと、下にスクロールします。
なおVoiceOverで使用する場合、画面が点いていてもバッテリーの無駄にしかなりません。ので、「スクリーンカーテン」という機能があります。3本指の3回タップで切り替えです(VoiceOverと同時にズーム機能も有効にしている場合は4回タップ)。スクリーンカーテンを有効にすると画面が真っ暗になりますが、タッチパネルは生きていて、VoiceOverを使って操作が可能です。見えない人はこの状態で使っているんだというシミュレーションにもなりますので特に開発者の方には有効でしょう。
VoiceOver特有のジェスチャーは非常に多いのですが、中でもユニークなのは「ローター」でしょうか。2本指で、バーチャルつまみを4分の一回転するように、画面上に円を描きます。親指と人差し指でやるとやりやすいでしょう。認識されると以下のようなUIが表示されます(矢印は合成)。
ローターは、VoiceOverの細かな設定変更に使います。同じ回転ジェスチャーを繰り返して設定項目を選択し(逆回転も可能)、値の変更は1本指上または下スワイプです。ローターの内容は状況によって変化します。例えばSafariの起動中に呼び出すと、「リンク」や「フォームコントロール」といった項目が増えます。更に設定を追加したければ、「設定」アプリから、「一般」→「アクセシビリティ」→「VoiceOver」→「ローター」から追加可能です。
と、長くなってしまいましたが、これでもVoiceOverジェスチャーのごく一部に過ぎません。より詳しく知りたい人は、前出のAppleによるマニュアルを読むか、設定アプリの「アクセシビリティ」→「VoiceOver」の中に、「VoiceOverの操作練習」という項目がありますので試してみてください。ここでは任意のジェスチャーを行うと、その操作がどんなコマンドか教えてくれます。
次回は、こうしたアクセシビリティの機能がどう役に立つのか? どんな用途があるのか? 具体的な例をご紹介します。
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VoiceOver | アクセシビリティ | ジェスチャー | ユーザーインタフェース | タッチパネル
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