FREETELもY!mobileに真っ向勝負――MVNOは「格安」と「中価格」の二極化へ:石野純也のMobile Eye(5月16日~27日)(2/2 ページ)
格安SIM/スマホは、まだ一般ユーザーには行き渡っていない。一方で、2016年は、その普及が加速するとの見方もある。今回は、新端末・サービスを発表したFREETELを軸に、MVNOの今後を占っていきたい。
「格安」から「そこそこ安い」へ、MVNOの価格に変化の兆しも
こうした販売方式は、MVNOの新たなトレンドになるかもしれない。ある関係者は、「他にも、近いプランを準備しているMVNOはある。端末とのセット販売で、割引もつけていくようになるのではないか」と語る。仮に通信料が月2980円であれば、端末に対する割引もつけやすくなる。実際、UQコミュニケーションズが運営するUQ mobileも、「マンスリー割」として、指定した機種に対し、割引を行っている。
UQ mobileは、このマンスリー割をゲオで販売される中古端末にも拡大(参考記事)。UQ mobileのSIMカードを利用できるau端末が割引の対象で、機種によってはこちらも「実質0円」になる。このプランが評価され、MVNO市場で出遅れていたUQ mobileも、契約者の増加が顕著になっている。同社の代表取締役社長 野坂章雄氏は、マンスリー割の対象をさらに拡大することを語っており、これを武器の1つと捉えていることがうかがえた。
もともと、「格安」をうたい成長してきたMVNOだが、料金競争は行きつくところまで来た。データプランで見ると、3GBの相場は900円。音声通話対応でも1600円前後に設定している会社が多い。通話料などを考慮しなければ、大手キャリアの3分の1から5分の1程度。大手キャリアとは違い、設備投資の額も少なくて済むためリスクは少ないが、これでは大きな利益も見込めない。安さを競うだけでは、単なる消耗戦になってしまう。
ユーザーから見ても、料金の高い大手キャリアと、低価格なMVNOの両極端がある状態で、その中間がぽっかり空いていた。この隙間を埋めたのが、Y!mobileだったというわけだ。今の市場での勢いを考えれば、FREETELやUQ mobileがこうした販売方式に追随したのも、ある意味自然な流れといえる。大手キャリアの実質0円が事実上禁止された今の市場では、初期費用がかからないMVNOのおトクさはさらに際立ちそうだ。
増田氏が語っていたように、「ハードだけあっても、SIM(通信)がなければ電話はできないし、ソフトウェアがなければ便利に使えない」。であれば、料金的にまとめてしまうというのは合理的な考えだ。FREETELのように端末を自社で開発するかどうかは別にしても、今後、通信料とセットにした販売方式を採用するMVNOは、確実に増えていくだろう。MVNOも「格安」と「中価格」に、二極化していくのかもしれない。
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