前もって知れば怖くない――将来の家計を予想できる「iction!みらい家計シミュレーション」
20年、30年先の将来、どれぐらいのお金が必要になるのか、なかなかイメージしにくいだろう。そこで活用したいのが、リクルートの「iction!みらい家計シミュレーション」。収入・支出・家族の状況に合わせて将来の家計を試算できる。
スマホで簡単にできる家計シミュレーション
リクルートグループの横断プロジェクト「iction!(イクション)」事務局が、家計に関する興味深いシミュレーションサービス「iction!みらい家計シミュレーション」を開発し、Web上で提供している。
iction!は、「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る」をキーワードに、「はたらく育児」を応援するリクルートグループの横断プロジェクトだ。イクションという言葉は、「育児」と「アクション」を組み合わせたものだという。iction!みらい家計シミュレーションは、収入・支出・家族の状況に合わせて将来の家計を試算できるシミュレーションサービスで、PC、スマートフォンから無料で、何度でも利用できる。
さまざまな生活や仕事のスタイル、家族の在り方がある中、生活にかかるお金も人それぞれだ。普段、家計簿を付けている人でも、20年、30年先の将来、必要になるお金のことは、よく分からないのが現実だろう。
みらい家計シミュレーションは、ファイナンシャルプランナー氏家祥美氏の監修により、パートナーや子どもの有無、働き方、年収、住居費、子どもの教育費、介護費、大型支出予定などを入力するだけで、65歳までの家計を試算できるというもの。
質問項目に対し、答えは選択肢から選ぶ、あるいはおおよその数値を入力をするだけと非常に簡単だ。結果は世帯支出、世帯収入、貯蓄残高が組み合わされたグラフで一覧でき、いつ、どれくらいお金がかかるかをひと目で認識できる。
何年も先の家計が、そんなに簡単に試算できるものか? と思われるかもしれないが、百聞は一見にしかず。実際の入力画面を見ながら、サービスを紹介していこう。
現在の状況、子どもの教育、大型支出の予定を設定
みらい家計シミュレーションは、PC、スマホからWebサイトにアクセスして利用する。「利用規約に同意して家計シミュレーションを始める」のボタンからシミュレーションがスタート。なお、このシミュレーションは年金と退職金は考慮していないので、65歳までの試算となる。
最初に居住地、家族構成や収入、生活費と家賃といった現在のステータスを設定していく。今後、子どもが増える予定の人は、その人数を加えて試算でき、出産後の働き方も試算に反映される。もちろん、夫婦2人、独身の場合のシミュレーションも可能だ。収入は、自分とパートナーの手取り年収と現在の貯金を入力すると、就業形態から平均値を用いて算出される。
次のステップで、子どもの教育にどのくらいお金をかけるかを設定していく。全ての子どもに対して、習い事や塾にどれだけお金をかけるか、学校を公立にするか私立にするかなどを選択すると、国の統計データに基づいた平均値が自動で入力されていく。具体的な金額が分からない場合でもシミュレーションできるのがポイントだ。
最後に、家や車、介護といった大型支出の予定を設定する。例えば家を購入する予定がある場合は、購入時期、頭金、ローンの返済額と年数も設定でき、家の購入にかかる総額が算出される。
以上の入力が全て終わると、現在の収支状況が算出され、1年間にどれだけ貯蓄が可能かが数値で出てくる。収入と支出の詳細も確認でき、自分の現在の生活を振り返ることができるだろう。なお、入力を間違ったり、今後の予定を変えたりしたい場合はここで修正できる。
「結果を見る」で、将来の家計のシミュレーション結果をグラフで見ることができる。貯蓄残高の棒グラフ、世帯支出の折れ線グラフ、世帯収入の破線グラフを重ねた1つのグラフになっていて、年金・退職金をもらい始める65歳までの家計が一覧できる。支出のピークや、収入が60歳頃から急激に少なくなること、支出が収入を上回る期間などがひと目で分かり、将来の家計が予想できるだろう。結果によってファイナンシャルプランナーがアドバイスをしてくれるので参考になる。
主婦などが働いて稼ぐことが必要だと分かれば、働いた場合でシミュレーションをやり直したり、画面下のリンクからTOWNWORKで職探したりできる。
貯蓄残高の青い棒グラフ、世帯支出の赤い折れ線グラフ、世帯収入の破線グラフを重ねた1つのグラフで表示。年金・退職金をもらい始める65歳までの家計が一覧でき、支出のピークや貯蓄額がマイナスになる期間などが分かる
将来を具体的にイメージすることで覚悟や対策が可能に
みらい家計シミュレーションをやってみて、あらめて感じるのが、教育費の高さだ。大学まで進学する場合は、子どもが大学生の頃に支出のピークが来る。私立の学校を選ぶと金額はさらに上がる。子どもの教育に力を入れたいと思っているなら、それなりの備えが必要だと感じた。
また、当然ながら仕事を辞める60歳を過ぎた頃から収入がガクッと落ち、貯蓄も減っていく。さらに、介護となればその費用もばかにならない。統計データに基づいた介護の月額費用は8万円。退職後に介護となれば、さらに重くのしかかる。
シミュレーションなので、働き方や子どもの学校を私立から公立にするなど、条件を変えて何度でも試算できる。意外に問題なく生活できる、今の収入では教育費がまかなえないなど、将来の状況がはっきり数字で示され、それがいい場合でも悪い場合でも、把握できるのは確かにメリットだ。65歳までのシミュレーションなので、それ以降の家計に不安を覚えないわけではないが、反面、65歳までにやるべきことも見えてくる。
長い人生、さまざまな出来事があるはずで、将来の家計を正確に予想することは難しいが、シミュレーションすることで具体的にイメージでき、想定よりもお金がかかることが分かれば対策を考えられる。筆者の場合は普段、ほとんど考えたことのない将来の仕事と家計を把握でき、覚悟すると同時に安心感のようなものも得られた。
遠い未来のことなんて考えられれないと思っている若い方々も、老後に漠然と不安を覚えているような方も、ぜひ節目節目でみらい家計シミュレーションの活用をお勧めしたい。
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