「技術ベースの“シーズ”を重視したアプリ企画・開発」――リクルートジョブズの若手社員に聞く
若手主導のスマホアプリ開発チームを編成するなど、新しい取り組みを積極的に推進するリクルートジョブズ。音声入力技術を用いたiOS向けアプリ「ジョブーブのこえ手帳」はどういった背景で生まれたのだろうか。
リクルートと言えば「営業力や紙媒体が強い会社」というイメージがあるが、最近では若手社員を起用したスマートフォンアプリ開発チームが編成されたりするなど、新しいテクノロジーの導入にも力を入れている。音声入力でスケジュールを登録できるiOS向けアプリ「ジョブーブのこえ手帳」の企画・開発に携わったというリクルートジョブズの2年目社員奥村 命氏と広瀬 緑氏に話を聞いた。
アプリの企画・開発において、2人はアプリの企画・開発・ディレクションを担当するマネジャー的な役割を担っている。開発自体はリクルートテクノロジーズ内にある先端テクノロジーの実証研究機関「アドバンスドテクノロジーラボ」が行い、いわゆる共同プロジェクトとして始動した。
ターゲットは文字入力が苦手な主婦
奥村氏によると、ジョブーブのこえ手帳は「技術ベースの考え方である“シーズ”をコアにして、ユーザーが求める“ニーズ”も重視したアプリ」だという。同アプリの企画が持ち上がった2012年ごろは「音声認識技術が技術者の間で話題になっており、リクルート内でも音声入力に興味を持つ人がいた」と奥村氏は話す。さらに、「視覚や聴覚を用いた直感的なユーザーインタフェースの需要が高まりを見せる中で、改めて音声入力技術に注目した」と奥村氏は説明する。
また、“ニーズ”という面では「フリック入力が苦手なiPhoneのライトユーザー、特に主婦層」(奥村氏)をターゲットにしている。本アプリの姉妹アプリであるAndroid向けの「ジョブーブのこえ家計簿」も、主婦向けの家計簿アプリだ。奥村氏は、「まずは新しいテクノロジーの分野がユーザーに受け入れられるのかなどを検証することが重要」と話す。
ジョブーブのこえ手帳は、音声認識技術を取り入れるにあたってスピード感を重視し、約1カ月で企画から開発までを行った。
独自の「同音異義語」辞書や高精度な音声認識に注力
音声認識技術としてiPhoneに標準搭載されている「Siri」が挙げられるが、Siriとの違いやアプリ独自の工夫などはあるのだろうか。
ジョブーブのこえ手帳ではSiriと同じ音声認識エンジン機能を搭載しているが、「毎日、来週、○時から○時」などスケジュールでよく使う単語の入力に最適化させたり、音声認識の精度を向上させたりするなど、細かなチューニングを行っている。また、「文脈によって特定の単語を正しく変換させる「同音異義語」の辞書はリクルート内で独自に開発したもの」だと奥村氏は説明する。iPhoneに標準搭載されているカレンダーアプリとスケジュールを共有できるのも特徴だ。
奥村氏によると、「障がいを持つ方にも便利なアプリとして他メディアで紹介されるなど、リリース時には想定しなかったユーザーに使われていることもある」ということだ。
従来の強みを残しつつ、今後はさらにIT分野にも力を入れる
「まだまだリクルートジョブズはIT企業というイメージが弱い。営業力や紙媒体など従来の強みを活かしつつ、テクノロジーの導入にも注力していきたい」と奥村氏は話す。今後もスピード感を大切にしながらアプリをリリースしていくという姿勢がうかがえた。広瀬氏は「シーズをベースに、ユーザーニーズも考えながら両者がマッチするような分野に挑戦していきたい」と今後の抱負を語った。
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