J:COM Mobileがアップル正規品の中古iPhone6sをひっそり販売――見た目は新品同様。日本でも中古iPhoneの流通が広まっていくのか:石川温のスマホ業界新聞
MVNOにとって、iPhoneを取り扱うことはハードルが高い。しかし、Appleの正規中古品を取り扱うMVNOが出現した。ジュピターテレコムの「J:COM MOBILE」がそれだ。
ワイモバイルやUQモバイルでのiPhone SEの売れ行きを見ると、格安スマホ市場においても、iPhoneの人気が高いことがよくわかる。
ビッグローブが怪しいiPhoneを業者経由で海外から調達してくるというのも理解できる話だ。
この記事について
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2017年4月15日に配信されたものです。メールマガジン購読(月額540円・税込)の申し込みはこちらから。
MVNOにとってみれば、iPhoneはのどから手が出るほど欲しいのだろう。
実はそんななか、正規にiPhoneを扱うMVNOが日本には存在する。CATVの営業力を強みとするJ:COM MOBILEがひっそりとiPhoneを扱っているのだ。
J:COM MOBILEが扱うのはiPhone 6sだ。新品ではなく箱には「Apple Certified Pre-Owned」と書かれている。つまり、アップルの認定整備済み製品だ。ちなみに型番はA1688だ。
Apple Certified Pre-Ownedはアップルの正規品ということもあり、アップルのメーカー保証も1年間、受けることができる。
実際に箱を空けて中身を見せてもらったが、iPhone 6s自体は新品とほぼ変わらない見た目となっていた。Lightningケーブルや充電器などは新品。もちろん、箱も新品で、きちんとビニールで梱包されており、「開封の儀」も行うことが可能だ。
J:COM MOBILEでは、このiPhone 6sを業者から調達しているという。KDDIとの関係が強いことから、KDDI経由での調達かと思いきや、実際はそうではないようだ。このiPhone 6sの存在をKDDI関係者やMVNO関係者に聞いてみたが、ほとんどの人が「知らなかった」という反応となっていた。
J:COM MOBILEでは今年にはいってからiPhone 6sを扱うようになったが、春商戦時期では供給が安定するか不安だったため、あまりアピールはしてこなかったという。今後は今まで以上に訴求をしていくようだ。
iPhone 6sの出所だが、Apple Certified Pre-Ownedということで、考えられるのは、初期不良などでアップルストアに持ち込まれ、交換扱いになったものを修理し、再度販売しているようだ。しかし、関係者によれば「その割には、一度使われたような感じはなく、新品同様の仕上がりになっている。もしかすると、Apple Certified Pre-Ownedといいつつ、アップルが新たに製造している可能性もゼロではない」という。
海外などではアップルストアでApple Certified Pre-Ownedが扱われることがあるようだが、日本で流通しているのは見たことがない。
J:COM MOBILEの件は、日経新聞が今年の2月3日に報道しているのだが、「どうせ、ビッグローブの後追いでしょ」という程度にしか思っていなかった。ビッグローブが取り扱うiPhoneは箱の外にiPhoneがビニールでぐるぐる巻きにして貼り付けられているものであり、怪しい感じしかしなかった。
しかし、実際にJ:COM MOBILEが扱うiPhone 6sを見てみると、きちんとアップルの製品として梱包されているので驚いたのだった。
J:COM MOBILEでこのiPhoneを契約すると、毎月5000円程度で利用できるようになるという。
「中古のスマホは手が出しにくい」という人が多い中、アップルの純正品が出回るとなると、ユーザーにとってみれば、新たな選択肢として受けいれられる可能性がありそうだ。
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